企業ごとに格差が広がるコンタクトセンターの現状コンタクトセンターが企業の顔になる(3/4 ページ)

» 2006年02月06日 08時51分 公開
[上村陽子,ITmedia]

コンタクトセンターが現在直面する課題

 早期にコンタクトセンターを設立し、ソフトウェア/ハードウェアシステムのリプレース、IVR(Integrated Voice Response:音声自動応答装置)のアップグレード、CTIの実装検討を余儀なくされている企業は多々ある。また、予想外の呼量の増加に現行システムの対応が困難となり、システムのアップグレードを必要とする企業も少なくない。その一方で、企業はコンタクトセンターの投資に慎重である。その背景には、投資対効果が明確に実証できないことが挙げられる。

 顧客対応の重要な拠点と認識されているとはいえ、コンタクトセンターの位置付けは、まだまだ「コストセンター」の域を出ていない。担当部門が業務効率化や品質向上に向けて日々奮闘するも、経営側から予算の削減を言い渡されることもある。現行システムのリプレースやバージョンアップは、オペレーションの質を高めることには一定の効果を及ぼすであろうが、投資に見合う効果とは理解されにくい。

 このような状況が、上述の2.(クオリティの向上を意識しつつも、その対応が遅れている企業)を増加させていることは否めない。

 だが、今や顧客サービス/サポートにおいて、顧客はさまざまな点で高い水準の期待を抱いている。サービスの提供が遅れたり、提供されたサービスが適切でなかったりすると、寛容な態度を示してはくれないだろう。クレームを付けるほどではないようなわずかなサービスレベルの違いでも、顧客はより質の高いサービスを提供する企業を選んでいる。

 また、サービスの良さが口コミ情報となって、より広範囲に広まる時代である。旧式の技術を使ったまま顧客サポートを提供するコンタクトセンターは、高いクオリティのサービスを提供するという点で競合他社に後れを取る危険性は高い。必ずしも既存のオペレーションをまるごと新規システムに置き換える必要はないが、ROIを明確にしつつ、新規技術やアプリケーションを取り込んでいくことが、企業にとっての当面の課題と言えるだろう。

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