VMware、VMware Serverの価格をゼロに(2/2 ページ)

» 2006年02月07日 14時50分 公開
[Joe-'Zonker'-Brockmeier,japan.linux.com]
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競争激化への対応か?

 仮想化製品の市場では、競争が激化している。VMwareが製品を投入した当時、ほとんど競争相手はいない状態だったが、今ではLinuxベンダーが仮想化ソフトウェアをXenという形でディストリビューションに加え始めている。SunはSolaris Containersという形で仮想化を提供し、MicrosoftはVirtual PCを提供し、米SWsoftにはVirtuozzoがある。

 ラグラム氏によると、VMware Serverはほかのソリューションに魅力を感じる顧客をおびき寄せようとする試みではなく、また仮想化製品の市場競争に応じた対抗策でもない。実際の動機は「まったく新しいユーザー層を獲得するため」であると言う。

 だが、VMwareのライバル企業は、同社が市場の優位を守ろうとしていると見ている。米XenSourceのCTO、サイモン・クロスビー氏は、VMwareが「Xenが市場に提供され、フリーであり、成功を収めている事実に対処しようとしている」と語った。

 「今回のことは、Xenの擬似仮想化(paravirtualization)の勝利をはっきりと示す出来事です。Xen 3.0が毎月1万5000件ダウンロードされている事実が実害を与え始めていることを暗に認めたということです」

 ラグラム氏は、Xenを意識していることを否定し、Xenは「不安定」で、「独自のカーネルを構築できるスキルがある人しかまともに扱えない」と言った。VMwareの本当のターゲットは「それとは反対の人々」であり、その手段としてVMware Serverをフリーにして使いやすくしたというのだ。

 クロスビー氏は、Xenが「今は使いやすいとは言えません」と認める。「ですが、それは早急に是正されます。しかも、Xenは非常に安定しているんですよ。弊社のQAプロセスの活動には、20社を超える大手エンタープライズITソリューションベンダーと世界各地の膨大な数のサーバというリソースの蓄積が大きく寄与しています」

 SWsoftもこのニュースを良い知らせと受け止めた。SWsoftのエンタープライズ市場担当責任者Carla Safiganは、このリリースが意味するのは「VMwareがライバルからの圧力を感じ始め、長期的な市場シェアを懸念していることです」と述べた。

 今回のフリー製品はSWsoftの市場に影響を与えないというのが、Safiganの見解だ。同社のVirtuozzoの直接のライバルはVMware ESXであり、GSX製品ではないからである。ただし、「Microsoftは脅威を感じるに違いありません」

 また、SWsoftはNovellやRed HatなどのLinuxベンダーと提携して、OpenVZをLinuxディストリビューションに直接移行することに取り組んでいる。OpenVZは、SWsoftのVirtuozzoのオープンソース機能限定版である。

 ゆっくりと、しかし着実に仮想化製品の市場は、XenやOpenVZのようなプロジェクトによってコモディティ化している。それは、ちょうどLinuxがオペレーティングシステム市場のコモディティ化に一役買ったのと同じである。長期的には、顧客は仮想化製品を選ぶ基準としてコア仮想化テクノロジーではなくパフォーマンスツールや管理ツールに注目するようになるだろうと、Safiganは見ている。

 最終的には、この動きは仮想化テクノロジー全体にプラスになるとクロスビー氏は考えている。「VMwareが少しばかり変化に寛容であろうと決めたことは明らかで、もちろんGSXがいまだにクローズドソースであるのは難点ですが、これは動作の遅い時代遅れの製品です。でも、仮想化にとって全般的には良い動きですよ。すべてのサーバが仮想化されるべきだというのが、私たちの信念ですから」

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