Windows Vistaの信頼性はUNIX並に?

Microsoftは「死のブルースクリーン」を解決するため、ハードメーカーにECCメモリの採用を促している。これがうまくいけば、VistaはMicrosoft初のノンストップOSになれるかもしれない。

» 2006年02月13日 15時31分 公開
[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 Windows Vistaは、UNIXベースのOSに付き物の高レベルの信頼性に近づいているのかもしれない。

 これはわたしの友人ロブ・エンダールの言だ。良識ある意見だ。

 極めて洞察力があることで知られる業界アナリスト兼コンサルタントのエンダールによると、Microsoftはハードベンダーに、Vista搭載ハードの仕様にECC(エラー訂正コード)メモリを入れるよう推進している。

 それは、Microsoftは今調べているドライバの問題から、Windows XPのシステム・アプリケーションのクラッシュの主な原因がメモリの欠陥にあることを知ったからだ。この問題を修正すれば、ECC対応ハードで実行されるWindows Vistaの信頼性は大幅に改善されるはずだとエンダールは言う。

 ここでちょっと歴史を振り返ってみよう。Microsoftは長い間、ほとんどのシステムクラッシュ(またの名を「死のブルースクリーン」)は、OSではなく他社が作ったハードウェアドライバが原因だと主張してきた。

 最初に容疑者にされたのはメモリカードだった。メーカーがドライバソフトを慎重にテストするようになってからは、メモリカードはクラッシュの原因ではなくなった。最近では、グラフィックスカードドライバがクラッシュの主な原因だとMicrosoftは主張してきた。

 同社は、テストを通過したドライバに電子署名を与えるプログラムを設けたが、これはハードメーカーからほとんど無視されていた。読者の皆さんも、「インストールしようとしているハードのドライバに署名がありません。インストールしますか?」というような警告メッセージを目にしたことがあるかもしれない。ほかの人たちと同じように、皆さんもここでインストールする方を選択するだろう。署名付きのドライバはあまり提供されていないのだ。

 ありがたいことに、署名のないドライバでも十分に改善されており、問題を起こすことはほとんどなくなっている。つまり、最近のドライバは問題を起こさないということだ。正しい環境の場合(いや間違った環境と言うべきか?)、システムにクラッシュを引き起こす可能性のある古いドライバがまだ多数使われているはずだから。

 Microsoftは署名のないドライバがOS上で実行されないようにするかもしれない。Windows Vistaの64ビット版ではそうするつもりだ(1月25日の記事参照)

 最近の取材の中で、MicrosoftのWindows責任者ジム・オールチン氏は、同社がそうした対策を取ることができるのは、64ビットドライバが新しいものであり、署名を義務付けてもレガシーハードを使っている顧客に問題は起きないからだと話していた。

 しかし32ビットシステムは署名のないドライバをインストールできる状態のままになる。周辺機器ベンダーはおそらく、こぞってドライバ署名プログラムを無視し続けるだろう。

 ところで、もはやドライバはかつてほど問題ではなくなったことから、Microsoftはメモリの欠陥がWindows XPの「偉大なるクラッシャー」の役割を引き継いだことを知った。同社にそれを教えたのが、クラッシュ報告・分析システム「Watson」が提出するリポートだ。これはアプリケーションがクラッシュした後で表示され、Microsoftに問題を報告するかどうかを聞いてくるポップアップウィンドウだ。わたしはいつも報告を提出している。

 Microsoftは時々、この報告を利用して、問題の原因(たいていはドライバだ)に対処し、ユーザーに新しいドライバのダウンロードを指示できる。だが、ユーザーの報告をありがたく自社のデータベースに追加していることの方が多い。

 しかし、ECCメモリを推進する動きが示すように、これらの報告は重要だ。エンダールは、もしもMicrosoftの取り組みがうまくいけば、顧客が新しいハードを使っているときにアプリケーションとシステムがクラッシュすることがずっと少なくなるはずだと話している。

 Microsoftはハードベンダーに新しいメモリを使うよう命令できると皆さんは思っているだろうが、強大なMicrosoftは友好的な説得しかしていない。エンダールによると、今ECCメモリを新しいコンピュータに採用すれば、コストが30〜40ドル上乗せされるかもしれないが、出荷量が増えればこの上乗せ分はなくなっていくはずだという。

 この数年間、Windowsの信頼性は次第に高まってきたが、まだLinux、UNIX、Macほどクラッシュに強くはない。Microsoftがハードメーカーに対して、この問題――結局は同社の問題なのだが――を解決するのを手伝うよう推進していることをわたしはうれしく思っている。特にうれしいのは、わたしがMicrosoftに報告したすべての問題が、実際に何かを達成する役に立ったかもしれないということだ。

 信頼性の向上、そしてセキュリティの改善を加えれば、WindowsはMicrosoft初のノンストップOSになれるかもしれない。注目する価値はある。

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