「Bad Word」となったCRMを復活させたカギは?(3/3 ページ)

» 2006年03月13日 13時08分 公開
[聞き手:谷川耕一,ITmedia]
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競合との争い

ITmedia OracleがSiebelを買収して、オンデマンドCRMサービスの世界に本格参入してきます。競合他社に対して、強みはどこにあると考えていますか?

フリーランド Oracleに限ったことではありませんが、異なるたくさんのソフトウェアを買収している企業は、ソフトウェアに対する革新や未来を購入しているのではなく、強いていうならばメンテナンスレベニューを買っているようなものです。Salesforce.comは、アプリケーションやソフトウェアに対する未来を常に考え、革新を起こそうとしています。

 この部分が競合他社との大きな違いではないでしょうか。統合や技術革新は、常に起こります。今は、Webの技術革新を追求することが重要です。技術革新を止めたときには、統合で規模を追求しなければならなくなります。Salesforce.comは、常に技術革新を追求しているところが、他社に対する優位性です。

ITmedia オンデマンドの分野でもトラディッショナル企業はもちろん、NetSuiteのような直接Salesforce.comと競合する企業が出てきています。(関連記事

フリーランド 基本的に競合企業の市場参入は歓迎しています。それにより、健全なオンデマンドサービス市場が形成されるでしょう。自分たち1社しかなかった頃は、オンデマンドサービスを説明するだけでも大変でした。OracleやSAP、Microsoftなどが参入してくることで、市場はどんどん広がっていると感じています。

ITmedia ビジネスウェブの重要な要素となるAppExchangeですが、今後アプリケーションを増やすための戦略はありますか。

フリーランド 2つの戦略があると考えています。1つがボトムアップです。AppExchnge上にツールなどを準備して、新しいISVやデベロッパーをリクルートし、どんどんアプリケーションを構築してもらえるよう環境を整備します。登録されたアプリケーションについては、Amazon.comのようにユーザーが評価する仕組みも重要です。

 これにより、より良いアプリケーションが出来上がり、口コミで多くのユーザーが利用するようになるでしょう。このようなマーケットが評価するアプローチは有効です。

 もう1つがトップダウンです。特定の方向性を持ったソリューションを提供していくことです。CRM以外に重要なアプリケーションは何かを考え、例えば、特定の業種、業態に特化したアプリケーションを構築するための環境を整えるのも重要です。

 先日AppExchangeのソフトウェアを提供することになったBusiness Objectsは、この両方のアプローチを持っています。AppExchange上のアプリケーションを作りたいと彼らが言ってくれたところはボトムアップであり、彼らが持っている業界に特化した実績あるソリューションを提供してくれるのはトップダウンのアプローチです。

ITmedia よりサービスを普及させていくには、Salesforce.comにかかわる技術者を増やす必要があると思います。そのための方策は?

フリーランド AppExchangeを発表した6カ月前にはなかった組織ですが、アライアンスグループという組織を作りました。パートナーをリクルートし、アプリケーションを開発してもらい、成功をサポートする組織です。6カ月という短期間のうちに、結果として162のアプリケーションが完成しました。

 具体的な活動の結果として、まずは成功していると考えています。その上でさらに、エコシステムという形で顧客の開拓までしてくれるパートナーが、きちんと利益を出していける仕組みを作ることが重要だと考えています。

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