Vista搭載のメールクライアントは広告表示型に?(2/2 ページ)

» 2006年03月14日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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Microsoftの電子メール製品およびサービス

説明 価格* ターゲットユーザー 今後の提供継続の可能性
Windows Live Mail(WLM) Webべースの電子メールサービス(Hotmailの後継サービス)。2Gバイトのメールボックス、新しいインタフェースを提供。 無償(広告サポート型) コンシューマー 極めて高い
Windows Live Mail Desktop(コード名) WLMや他のアカウントへアクセスするデスクトップクライアント。オフラインアクセス、RSSフィードなどの機能を提供。 無償ダウンロード(広告サポート型) コンシューマー 極めて高い
Hotmail Plus Hotmailに機能を追加したサブスクリプションサービス。2Gバイトのメールボックス、OutlookまたはOutlook ExpressからのHotmailへのアクセスを提供。 年間20ドル コンシューマー、モバイルPCを使用するビジネスユーザー 極めて低い。名称、価格、機能面での変更の可能性がある。
Outlook デスクトップPOP3電子メールクライアントおよびPIM(個人情報管理)製品。Exchange Serverと連携。 エディションにより異なる(スタンドアロンのOutlook 2007は109ドル、Office Standard 2007は399ドル) ビジネスユーザー 極めて高い
Outlook Live OutlookからのWLMおよびHotmailへのアクセスを提供するOutlookクライアントおよびサブスクリプションサービス。オフラインアクセスを提供。 年間50ドル モバイルPCを使用するビジネスユーザー どちらとも言えない。アクセスサービスとOutlookクライアントを分離し、価格が変更される可能性がある。
Outlook Express(Windows Mail) デスクトップPOP3電子メールクライアント(VistaでWindows Mailに名称変更予定)。 無償(Windowsに搭載) コンシューマー 高い
2006年末時点でMicrosoftが提供している電子メール用の無償サービス、サブスクリプションサービス、デスクトップクライアントは、多数に上る見込みだ。この表は、各製品またはサービスの概要と、Windows Live Mailおよびそのデスクトップクライアントとの機能の重複を考慮して今後の見通しを示している。
*2006年3月現在でのサブスクリプション料金または一般小売価格。


Hotmail Plus
 MSNのサブスクリプションサービスで、年間20ドルで提供されている。Hotmail Plusの最大の売りである2Gバイトのメールボックス容量は、Windows Live Mailでは無償で提供される予定だ。また二次的なメリットであるデスクトップクライアント(OutlookまたはOutlook Express)からのWeb電子メールへのアクセスも、WLMDでは無償で提供される。ユーザーが広告を避けるためだけに年間20ドルを支払うかどうかは疑問であるため、いずれブランド、価格、機能面での変更が行われることになるだろう。1つの可能性としては、ブランド変更を行い、Windows Liveの他のさまざまなサービス(Live Mail、Live Messenger、Live Search、Live Spacesなど)に広告なしのアクセスを提供するサービスとしてWindows Liveブランドに組み込むことが考えられる。

Outlook
 Outlookは、今後もビジネスユースの電子メールクライアントおよびPIM(個人情報管理ソフトウェア)の推奨製品として、Microsoftの電子メールクライアント開発の中心の座を維持する見込みだ。また、Officeの将来のバージョンでも、大半のエディションで引き続き提供される予定である。しかし、同社はコンシューマー製品としてOutlookを以前ほど重視しなくなってきているようだ。これまでのバージョンのOfficeでは、コンシューマー向けの廉価版であるHome EditionおよびStudent EditionにOutlookが含まれていたが、Office 2007のこれらのエディションにはバンドルされない見込みだ。

Outlook Live
 MSNのサブスクリプションサービスの1つで、年間50ドルで提供されている。Hotmail Plusと同様に、Outlookを使用してHotmailアカウントにアクセスすることができる。Hotmail Plusと異なる点は、Outlookクライアントソフトウェアが提供されることである。

 コンシューマー向け電子メールクライアントとしてのOutlookへの注力がシフトされつつあることを考えると、Outlook Liveは提供中止または変更になる可能性がある。例えば、既にOutlookを所有しているビジネスユーザーにはWindows Live Mailへのアクセスを提供するが、同サービスでのOutlookクライアントの提供は打ち切りになることが考えられる。

Outlook Express
 Outlook Expressの次期バージョンは、Windows Mailに名称が変更され、Windows Vista(2006年末にリリース予定の次期Windows)のコンポーネントとしてリリースされる予定だ。WLMDとは統合されないため、ユーザーはWLMDを別途ダウンロードする必要がある。Outlook ExpressとWLMD間でのデータ転送は行えない見込みだ。

 Windowsに無償の電子メールクライアントをバンドルすることは、Microsoftにとってビジネス戦略上の十分な理由がある。電子メールはコンピュータの用途として最大のものである。コンシューマーとしては、新しいPCを購入する場合、電子メールソフトウェアを別途購入またはダウンロードしないで済ませたい。Windowsに電子メールクライアントがバンドルされていなければ、ISPがスタートアップキットの一部として代替の電子メールクライアントを提供したり、OEMが新しいPCにプリインストールして提供したりする可能性がある。最終的にこのような競合企業が自社の電子メールクライアントの市場での優位性を確保できた場合、これを利用して例えばビジネスアプリケーションなど別の領域に参入し、Microsoftの新たな競争相手に成長しないとも限らない。

 また、Outlook Express(またはWindows Mail)による収益は発生しないため、MicrosoftはVista以降のWindowsにおいて現在Windowsにバンドルされている電子メールクライアントをWLMDに置き換え、広告による収益機会の拡大を図ることも考えられる。

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