SAPとOracleが歩む異なる道(2/2 ページ)

» 2006年04月07日 12時12分 公開
[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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 Oracleの次世代アプリケーションは同社独自のデータベース上でのみ動作する(同社はこれを公にしていない)。SAPのアプリケーションは同社独自のミドルウェア上でのみ動作する。

 SAPは次世代スイートを2007年に出荷することを目指し、Oracleは次世代製品を2008年にリリースする計画だ。

 両社は幾つかの分野で争うことになるとForresterは指摘する。マスターデータ管理、分析、リポジトリアーキテクチャの分野だ。SAPの方が市場で勢いがあり、価値の明確化とパートナー戦略に優れている。一方Oracleは強力なミドルウェアプラットフォームを有し、標準サポートに優れている。

共通の土台

 両社には違いはあるものの、Forresterは両社が共通の開発戦術に落ち着いた分野を多数発見した。

 まず、Forresterは、両社が次期アプリケーションスイート向けに「かなりの量の新しいコード」を書いているという結論に至った。これは、移行よりも標準的なアップグレードを求めるユーザーにとって問題になるかもしれない。

 「両社はわれわれの結論に異を唱え、新アプリケーションスイート開発のために、主に既存コードを改変していると主張している。どちらもこの主張を裏付ける確たる証拠を提出しなかった」(Forrester)

 同様に、OracleとSAPはいずれもJava/J2EE、BPEL、HTTPなど多数の共通の標準に依存している。

 両社の違いは、OracleがSAPよりもJ2EEとWebサービス標準を支持し、SAPがBPELをプロプライエタリなランタイムフォーマットに変換するBPEL編集を提供しているという点にある。

 Forresterによると、両社とも自社アーキテクチャの性能を最適化するためにプロプライエタリ技術を選択してきた――これは驚くようなことではない。Oracleはデータベースレベルでの最適化を行い、SAPはアプリケーションプラットフォームとWebユーザーインタフェースでの最適化を行うだろう。

 最後に、両社はアーキテクチャの中心に置かれるサービスリポジトリを構築しており、これを声高に語ってきた。

 ほかのリポジトリの計画――IBMは今週SOAリポジトリを発表した――と同様に、OracleとSAPのリポジトリはWebサービスと業務プロセスの定義を格納する。だが、これらはユーザーインタフェース、ユーザー、プラットフォームメタデータも保持するとForresterは述べている。

 両社の製品の大きな違いは何だろうか? Oracleは現在、デザインタイムとランタイムの両方で自社のリポジトリを採用しており、まだ開発中のSAPのリポジトリは、デザインタイムでのみ採用される見込みだという。

 SAPとOracleが同様のスタンスを取っている重要分野はほかに、プロセスモデリング(SAPは独自のものとIDS ScheerのARISツールセットを採用する計画で、Oracleは独自ツールを使っており、IDS Scheerと交渉中だと伝えられている)、コンポジットアプリケーション、分析など幾つかある。

 SAPはパートナーとともに、約150のコンポジットアプリケーション「xApps」を投入した(ただし、一部の業界観測筋はSAPがxAppsの社内開発につまづいていると考えている)。Oracleはまだコンポジットアプリケーションについて話している段階だ。

 分析については、SAPとOracleは互角のようだ。

 「いずれも自社の次世代アーキテクチャに分析を取り入れている。だが、いずれもビジネスインテリジェンス(BI)の市場リーダーに必要な投資をしていない」(Forrester)

 両社が次世代アプリケーションの初期コードをリリースするまでには、少なくともあと1年ある。顧客は何をするべきだろうか?

 Forresterは幾つかの提案をしている。アーキテクチャと両社の計画を分析して、何が自社の戦略的要件に合っているのかを見極めること、両社のアーキテクチャに採用される主要な新技術――ポータル、サービス配備、統合型分析、Business Activity Monitoringに注目すること、学習を始めるために十分なFusion MiddlewareまたはSAP NetWeaverを入手すること、そして代替手段を評価することだ。

 「これを機会に、SOAベースアプリケーションへの道を描く上で利用できるほかの選択肢も評価するといい。代替選択肢を購入、構築するのもいい」とForresterは提案している。

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