OracleのFusionとSAPのNetWeaverの取り組みは似ているが、この先両社は異なる道を追求するだろうとForresterは考えている。
米OracleがFusion Middlewareプラットフォームの好調を雄弁に語り――4月4日に同社は3万人の顧客が同製品を使っていると発表した――独SAPが年次ユーザーカンファレンスSAPPHIREに向けて準備する中で、顧客はいまだに差し迫る両社の技術の変化をほぼ知らずにいる。
IT調査会社Forrester Researchのアナリストのジョン・ライマー氏が書いた最近の調査報告書は、SAPとOracleの次世代アプリケーションとインフラ開発の謎に目を向けている。
3月31日に公表されたこの報告書は、OracleのFusion Architectureと基盤となるFusionミドルウェア、アプリケーションとSAPのEnterprise Services Architectureと基盤となるNetWeaver統合プラットフォーム、mySAP 2007アプリケーションを包括的に取り上げている。
この広範な報告書から1つの結論を出すのは難しいが、ライマー氏は、ユーザーが気に留めるべき点を指摘している。OracleとSAPは顧客がこれまで以上に深く自社の技術にコミットすることを求めているということだ。
「Oracleは、データベースから部門の枠を超えた業務プロセスまでを所有したいのだ。SAPはそこまで野心的ではなく、ミドルウェアから部門の枠を超えたアプリケーションまでのシングルスタックだけを求めている」(同氏)
Forresterの結論は、企業は結局、3つの理由から(各ベンダーが主張するように)全部Oracleでそろえるか全部SAPでそろえるだけでは足りないだろうというものだ。まず、Forresterの見解では、OracleもSAPもユーザーのミドルウェア要件に対処できない。両社のスタックは有用だが限界がある。
「メインフレームとの統合については、IBMがベスト中のベストだ。大規模で複雑なアプリケーションについては、BEA Systems、IBM、Tibco Softwareの方が広く使われている。またアプリケーションに中立的なミドルウェア製品は多くの大企業が求める幅広い統合とスケーラビリティを提供する」(Forrester)
Forresterはまた、大企業は多様な業務プロセス要件を持っており、こうした多数の企業は、プロセスの一部だけを自動化するのにSAPやOracleに頼ることができるだろうと推測している。
「大手アプリケーションベンダーが頭角を現していない業界固有の分野や機能では、ベストオブブリードが引き続き不可欠だろう」(Forrester)
最終的に、IT部門はベンダーを雇ってアーキテクチャを活用することを真剣に考える必要がある。「OracleとSAPが提唱する統合されたスタックは、スケールメリットを約束する」とForresterは記している。
「しかし当社の調査が示すように、ベンダーに囲い込まれるリスクは依然として高い。そのベンダーが標準をサポートしていてもだ。顧客はサービス指向アーキテクチャ(SOA)という新しい世界で革新から閉め出され、更新時に高いコストを払わされるリスクを負う」(同社)
OracleとSAPで(Microsoftでもある程度)進行中の次世代のアプリケーションとインフラ開発は似ている。両社ともサービスベースアーキテクチャを――OracleはFusion Architectureで、SAPはEnterprise Services Architectureで――開発している。
両社とも、ユーザーが業務プロセスベースでSOAとWebサービスを統合できるようコンポーネントまでに分割された新しいアプリケーション一式を開発している。両社の違いは、OracleがE-Business Suiteを基盤にFusionアプリケーションを開発し、PeopleSoft、JD Edwards、Siebel Systemsの買収で得た機能の「ベストな部分」を提供する点にある。
SAPはmySAP 2005を基盤にして、過去2年間進めてきたコンポーネント化を取り入れている。
Oracleは、既存製品をベースにFusion Middlewareプラットフォームを構築している。SAPはNetWeaver統合プラットフォームをBusiness Process Platformに進化させている。
だが似ているのはそこまでだ。両社の取り組みの結果は「これまでの世代とは違ったエンタープライズアプリケーション」になるが、両社は異なる道を追求するだろうとForresterは記している。
「この違いは明確だ。Oracleは買収を通じて構築を続け、SAPは社内の開発と提携により依存するようになるだろう」(同社)
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