IBMは「WebSphere Portal 6.0」など、SOAをサポートする新ソフトと強化版ソフトを発表した。
SOA(サービス指向アーキテクチャ)のすべての枠組みにおいて、IBMは大きな主張を打ち出している。同社は4月3日、8種類の新製品と20種類の製品の強化を発表した。これらはすべて、企業のSOA実装を支援するためのものだ。
IBMにとって最も重要なのは、提供するソフトの幅広さだ。同社がSOAで推し進めているのは、コンポーネントの再利用、プロセス統合、サービスガバナンスだ。これらは同社の巨大なWebSphere、Tivoli、DB2、Rational製品のポートフォリオに寄与するSOAの重要な強みだ。
自社の製品ロードマップを拡大してSOAを取り入れることで、IBMはこの取り組みのメソドロジーを開拓している。
「(業界として)重要な折り返し点に来たというのがIBMの見方だ。これはガジェットよりも、技術の応用方法に関係している」とIBMのソフト部門上級副社長スティーブ・ミルズ氏。「われわれは今、技術主導ではない世界の存在を信じている。これは業務プロセスとプロセスの統合に関わるものだ。企業各社は歩調を合わせなくてはならないだろう」
IBMは「多額の資金」――ミルズ氏によると年間10億ドルを超える――を、SOA技術、トレーニング、サポート周りに投じている。それにより、同社はソフト部門およびグローバルサービス部門で2けた成長が見込めるとしている。
ソフト方面では、同社はSOAを検討している企業のための5つの「エントリーポイント」を設置した。人員、プロセス、情報、アプリケーション統合、顧客が共通サービスとして公開でき、共通プロセス全体にわたって使える再利用可能なコンポーネントの5つだ。
このテーマを念頭に、WebSphereのジェネラルマネジャー、ロバート・ルブラン氏はSOAをサポートする新ソフトと強化版ソフトの詳細を説明した。
人員の面では、IBMはWebSphere Portal 6.0を発表した。ユーザーはこれを使って、「SOAを活用して、サービスの構築を始められる」とルブラン氏は言う。新しいアプリケーションテンプレートは、ユーザーがSOAアーキテクチャを配備し、修正する手助けをする。6.0には組織化されたワークフロー機能が統合され、プロセス中の対人間のやり取り「ピープルフロー」を管理する。またWebSphere Process Serverとの統合で、業務プロセスフローの管理を支援する。開発者がよりインタラクティブなWebページを作る手助けをするためにAjax向けフロントエンドツールキットが追加された。
プロセスをサポートするために、IBMはWebSphere Business ModelerとBusiness Monitor製品をアップグレードした。これはユーザーが「行動を取るのを支援し、リアルタイムのプロセス管理機能を提供する」ことが目的だとルブラン氏は言う。例えばBusiness Monitorの新機能には、業務アラート、ステータスとプロジェクトのメトリクスを追跡するサードパーティーのリポートやスコアカードへのリンクが含まれる。
情報の面では、2つの業界(銀行と保険)のSOAフレームワークをアップグレードし、これらをマスターデータ管理機能と統合して、顧客データを単一のビューで見られるようにした。これら「Banking Information FrameWork」「Insurance Application Architecture」モデルには、プロセス、ワークフロー、ユーザーが既存プロセスをリエンジニアリングするための「アクティビティ」のセットが付いてくる。
アプリケーションの統合とコンポーネントの再利用を向上させるために、IBMはWebSphere Application Server 6.1とWebSphere Commerce 6.0を発表した。WebSphere Application Serverは、音声、ビデオ、インスタントメッセージングアプリケーションをサービスベースアーキテクチャに追加するためのSIPサーブレットなどのアップグレードを含む。新しいInstallation Factoryツールは、インストールプロセスを削減してワンステップにするとIBMは説明している。WebSphere Commerceには、販売チャネル全体にわたる一貫した顧客ビュー、新しいトランザクション開発・管理機能などが含まれる。
またルブラン氏は、IBMはWebSphere Enterprise Service BusからMessage Brokerまで、すべての接続製品を強化し続けると話している。
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