SQL Server 2005がデータベースミラーリングを提供、クラスタリングを代替するSP1(2/3 ページ)

» 2006年05月25日 07時00分 公開
[Chris Alliegro,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

クラスタリングを代替

 旧来のバージョンでSQL Serverデータベースに自動フェールオーバーソリューションを構築する場合、Microsoft Cluster Services(MSCS)を利用する必要があった。MSCSはコンピュータのクラスタリングで、アプリケーションの冗長性を実現するWindowsサービスの1つだ。クラスタ内の1台のマシンが落ちた場合、他のマシン上でアプリケーションが再スタートする仕組みになっている。

 SQL Server 2005はMSCSのサポートを継続しているが、ほとんどのユーザーは、データベースミラーリングの方がシンプルでコストがかからないフェールオーバーソリューションだと判断するだろう。MSCSベースのフェールオーバー戦略には共有ストレージを含む特殊な、コストのかかるクラスタリングハードウェアが必要だ。実際のデータベースはクラスタ内のノードが共有するストレージシステム上(ストレージエリアネットワークなど)に置かれる。また、クラスタを構成するマシンは、特別に設計され、認定されたネットワークとサーバハードウェアを利用しなければならない。データベースミラーリングには、こうした必要条件がない。ユーザーは標準的なサーバハードウェアを利用でき、主サーバとミラーサーバはストレージを共有しないため、冗長性はさらに高い。

フリーエディションの進化

 SQL Server 2005には、 Microsoft SQL Desktop Engine(MSDE)をリプレースするExpress Editionが追加された。MSDEはSQL Server 2000をベースとする再配布可能な無料のデータベースエンジンで、シンプルなWebアプリケーションや埋め込みデータベースが必要なアプリケーションに広く利用されている。MSDEと同様、Express EditionもSQL Serverデータベースエンジンを利用するが、データベースミラーリングなど、SQL Serverの先進的な機能は含まない。それでもExpress Editionは、いくつかの面でMSDEより進化している。例えば、データベースが8オペレーション以上の処理を同時実行する場合(一連のSQLコマンドの処理など)、意図的にパフォーマンスを低下させるスロットリングが取り払われたほか、.NET Frameworkのサポートが追加された。

 さらに新しいグラフィカル管理ユーティリティ(スタンドアロンでダウンロード可能)と、2つの新機能がExpress Editionの使い勝手を高め、MySQLやPostgreSQL、Oracle 10g Expressなど、他社のフリーデータベースに対するSQL Server Expressの優位性を高めている。

新しい管理ユーティリティ
 これまでExpress Editionデータベースの管理は、一連のコマンドラインユーティリティに限られていた。それらのユーティリティのサポートは継続されるが、SP1のリリースでExpress EditionはManagement Studio Expressと呼ぶ新しいグラフィカル管理ユーティリティを装備することになった。このユーティリティは、SQL Server 2005の統合管理スイート、SQL Server Management Studioの省機能バージョンだ。Management Studioは、SQL Serverに従来から用意されていたEnterprise Manager(SQL Server 2000のメイン管理ツール)や、SQL Serverのネイティブ言語であるTransact-SQL(T-SQL)で記述されたスクリプトを構築、テスト、実行するためのQuery Analyzerなど、各種スタンドアロンツールの機能も包含している(SQL Server 2005の他のエディションを実行する環境でも、フルバージョンのManagement Studioを使ってExpress Editionデータベースを管理できる)。

 高機能なグラフィック管理ユーティリティにより、Express Editionは開発初心者や新米のデータベース管理者に有益な、あるいはテスト環境やシンプルなプロダクションデータベースの構築にいっそう便利な製品になったといえるだろう。

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