Google Spreadsheetsは「プアマンズExcel」

Google Spreadsheetsは表計算ソフトを時々使う人のためのもので、Fortune 500社のためのものではない。

» 2006年06月07日 14時26分 公開
[Ben Charny, Mary Jo Foley,eWEEK]
eWEEK

 Googleは貧しい人にとってのMicrosoftとして浮上している。

 その最新の証拠が6月5日、Googleが無料オンライン表計算機能のテストを開始した時に現れた。

 これはサッカーママやリトルリーグのコーチ、協会のバザー主催者、大学生、社員10人足らずの小規模企業のための表計算アプリケーションだ。

 それ以外では、これは表計算ソフトを使ったことがなく、欠陥があるかもしれない製品を使っても失うものがあまりない、好奇心ある人のためのものだ。

 だがFortune 500社のためのものではない。ではSpreadsheetsはこの分野のプレイヤー――はっきり言うとMicrosoft――のライバルとなるだろうか?

 今のところその答えは、「Googleはオフィスデスクトップソフトのセブンイレブン的な存在になるために励んでいることをその行動で証明し続けている」というものだ。つまり、Microsoftの大黒柱にすぐに影響することはほとんどなさそうだ。

 例えば、Google Spreadsheetsの最初のレビューを見てみよう。要するにコメンターの評価は、このソフトは機能する、というものだ。目を見張るほどではないし、もっと機能があるといいが、きちんと機能する。

 大企業はこれを採用するだろうか? Microsoftから顧客を奪うだろうか? それはないとアナリストは言うが、このソフトはきっとユーザーを見つけるだろう。

 「GoogleのWebベースの表計算ソフトが、Excelなど従来の表計算ツールの直接のライバルとして成功するとは思わない」とBurton Groupのアナリスト、ピーター・オケリー氏は言う。

 通常オフィスで使われているソフトのGoogleの無料オンライン版の真の恩恵は、Googleの売上高のほとんどを生み出している広告主のリーチを広げることにある。

 当面は、GoogleがMicrosoftの顧客を獲得するとしたら、それは単なる棚ぼただと6日に取材した数人のアナリストは話す。

 「GoogleはMicrosoftの気持ちをほんろうできるかもしれない」とJupiterのアナリスト、ジョー・ウィルコックス氏は語る。

 「Google Spreadsheetsを採用する人は、簡単に獲得できる顧客――表計算ソフトを持たないか、定期的に使うことがないコンシューマー、小規模企業――だと思う。彼らは時々しか使う必要がなく、Webベースの製品で十分かもしれない」(同氏)

 「Spreadsheetsはほかの多くのサービス――Gmail、Picasa、Blogger、Mapsなど――のように、検索や検索広告のためのプラットフォーム、つまりマーケットプレイスを作ることが目的だ。一部のGoogle製品はMicrosoftと競合するかもしれないが、GoogleはMicrosoftに対抗するよりもむしろ中核の情報プラットフォームから利益を上げることに関心を持っている」(同氏)

 Google Spreadsheetsやその他同様のGoogleの機能が、MicrosoftのOutlook、Word、Excelの縄張りに踏み込むことはほぼ間違いない。

 人々がそう考える理由はよく分かる。SpreadsheetsはGoogleが投入している、「Microsoftキラー」と目され得る一連の機能の一部だからだ。

 Microsoft Outlookの予定表機能と同等の機能を多く持つ予定表ソフト「Google Calendar」もある。

 Microsoftの多くの製品と競合するオンラインデスクトップ機能を集めた「Google Pack」も提供されている。

 また、Googleは最近、Oracleなど幾つかの主要ビジネスソフトベンダーと、企業ネットワークへの直接のルートを提供する契約を結んだ(4月19日の記事参照)

 だが、Googleの役割を、思いもかけず現れたエンタープライズソフトの王者のようなものと見なす人は増え始めている。

 せいぜい、Googleは利益の出る中核製品の利用者を増やすために、小さなビジネスソフトスイートを構築するくらいだろうとSusquehanna Financial Groupのアナリスト、メラニー・ウォーク氏は述べている。

 「覚えておいてほしいのは、フリーでオープンソースのMicrosoft Office代替製品が以前から出回っているということだ」とMicrosoft社員のドン・ドッジ氏は言う。「これらの製品は市場の異なるセグメントで使われている」

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