インターネットのキラーコンテンツは「ビデオ」だInterop Tokyo 2006

Interop Tokyo展示会開催2日目、シスコシステムズによる基調講演では、新しい情報通信の手段であるインターネットと今後のキラーコンテンツについて語られた。

» 2006年06月09日 14時04分 公開
[ITmedia]

 「より素晴らしい未来を築くには、過去についての理解を深める必要がある」――。6月8日に行われた講演「IP-NGN この世代の標準」で、シスコシステムズの上級副社長兼ジェネラルマネージャ、トニー・ベイツ氏は冒頭でこう切り出し、情報の伝達がどのように変化してきたかを説明した。

シスコシステムズの上級副社長兼ジェネラルマネージャ、トニー・ベイツ氏

標準化されたプロトコルが生み出した新しい情報伝達の方法

 最初に情報を大量発信する手法として登場したのが、1455年のグーテンベルク印刷だ。これにより、多くの人が印刷物として情報を受信できるようになり、文法や情報の標準的な表現方法が確立されたといってよいだろう。現代の「グーテンベルク」は、インターネットだ。さまざまな情報を世界中の人に配信するインターネットは、グーテンベルクに匹敵する変革を世の中にもたらした。

 だが、こうした情報も標準化されたコミュニケーションの手法がなければ伝達されない。「例えばモールス信号を送ったとき、受信した人は信号のプロトコルを理解していなければ、何を言われているのかが分からない。つまり、情報を伝達するには対話する相手との間に標準化されたプロトコルが存在しなければならないということだ」(ベイツ氏)。これをインターネットに当てはめると、1979年に標準化されたIPv4が該当する。その後、TCP/IPやDNS、HTTPなどさまざまなプロトコルが誕生し、インターネットは飛躍的に発展を遂げた。

 ただし、インターネットは情報の伝達方法を変えただけではない。「Efficient(効率)」「Productive(生産)」「Indispensable(必要不可欠)」「Cost-effective(コスト効果)」の頭文字を取った「EPIC」という4つの要素により、社会のあり方にも変化をもたらした。EPICとは、効率的で生産性が高く、現代の情報社会で必要不可欠な伝達方法であり、かつコスト効果も高いという意味だ。

 「シスコシステムズがインターネットを通じて得ている利益は、10億ドルにも上る。それだけの生産性効果がインターネットにあるということだ」とベイツ氏は説明した。コスト効率についても、現在アメリカの旅行代理店は実際の店舗を持たず、すべてインターネット上で旅行券やホテル予約などのサービスを提供しているという。店舗の賃貸料が発生せず、従業員の数も最小限に抑えることができ、コスト効果という点でインターネットは社会インフラに大きな影響を与えたということになる。

ビデオがインターネットのキラーコンテンツに

 そして今、情報自体も大きな変化を迎えている。ベイツ氏はブログや写真などを共有するサービス「MySpace」を取り上げ、あらゆるコンテンツを簡単に共有できるインターネットでは、今後よりリッチなカスタマーエクスペリエンスが求められると指摘した。さらに、ノートPCや携帯電話、PDAなど、インターネットに接続するためのデバイスも多様化した結果、すべてのデバイスに共通したコンテンツを提供することが必要になっている。

 「例えば、NTT東西はこれまで電話回線上で電話サービスを提供するだけでよかった。今は、電話サービス以外にも、xDSLとしてデータ通信サービスを提供するのが当然になった。ソフトバンクがISP事業からワイヤレス事業へと展開を広げるのも、そうしたユーザーニーズの変化に対応するためだろう」(ベイツ氏)。

 このようなサービスの変化を促進するキーワードに、ベイツ氏は「ビデオ」を挙げた。ビデオ電話やビデオ会議、ビデオオンデマンド、ゲーム、インタラクティブテレビなど、ビデオというコンテンツがもたらす影響は絶大なものとベイツ氏はいう。最近はビデオ投稿・共有サイト「YouTube」があるが、「YouTubeは月間1500万のビューを誇り、毎日6000本もの新しいコンテンツがアップされる。さらに、従来のテレビ番組よりも視聴時間が長いという特徴がある」とベイツ氏は紹介した。

 このような変化に対応すべく、シスコシステムズではネットワーク、サービスコントロール、アプリケーションの3つのレイヤすべてを支える「IP-NGN」と呼ばれるアーキテクチャを提唱している。それぞれを別個のサービスとして稼働させるのではなく、統合して展開するという発想だ。「シスコシステムズでは、インターネットでのビデオコンテンツ市場は数年以内に2200万ドル規模に発展すると考えている。現在Yahoo! BBに40Gbps対応のOC-768/POSを提供しているが、今後もビデオコンテンツ市場を支えるインフラ作りをサポートしていきたい」とベイツ氏は語った。

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