Vistaで進化するデスクトップの集中管理――WindowsのTCO削減方法(2/4 ページ)

» 2006年07月10日 07時00分 公開
[Michael Cherry,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 また、ReadyBoost機能では、頻繁に使うファイルとアプリケーションをUSBドライブにキャッシュし、高速にアクセスできるが、それはUSBポートが有効な場合に限られる。さらに、デバイスのインストールを禁止するポリシーの作成は、複雑な作業だ。このポリシーは適切なハードウェアID(デバイスドライバと物理および論理デバイスを対応付けるために使われる)やデバイスクラス(同種のデバイスのグループ、例えばすべてのCD-ROMなどを特定するために使われる)に適用する必要がある。

Network Location Awareness
 VistaのNetwork Location Awareness(NLA)サービスにより、グループポリシーはネットワーク環境の変化に動的に対応する。従来のWindowsでは、グループポリシーはコンピュータの起動時か、ユーザーのWindowsログオン時にのみ適用されていた。NLAによってグループポリシーは、コンピュータの状態やネットワーク環境が変わった場合にも適用可能になる。例えば、コンピュータがハイバネーションやスタンバイから復帰する、VPNセッションを確立する、ノートPCがドックに接続される、といった場合だ。

 また、グループポリシーはNLAを使ってネットワーク帯域を特定でき、従来とは異なり、ICMP(Internet Control Message Protocol)プロトコル(pingコマンド)を用いてドメインコントローラやActive Directoryとのネットワーク接続状態をチェックすることはしなくなる。このため、ファイウォールがICMPトラフィックを制限したり、フィルタリングしている場合でも、グループポリシーを適用することが可能になる。さらに、コンピュータが広帯域で高遅延のネットワーク、例えば衛星通信ネットワークなどによって接続されている場合も、NLAによってグループポリシーを有効に活用できる。こうしたネットワークは、グループポリシーの適用に必要な容量を備えていたが、pingでは狭帯域のネットワークと誤認されていた。

新しい管理テンプレート形式
 管理テンプレートファイル(.ADM)では、従来はレジストリベースのポリシー設定が独自のファイル形式で記述されていた。VistaではXMLベースの形式(.ADMX)が採用され、ポリシー情報は言語非依存のリソースと言語固有のリソースに分割される。このため、グループポリシーツールは、管理者が設定した言語に従って自身のユーザーインタフェースを調整できる。具体的には、言語固有のリソースファイルを使うだけで、一連のポリシー定義に新しい言語を追加できる。例えば、管理者が、使用言語が英語に設定されたVistaベースの管理ワークステーションからユーザー群やコンピュータ群を管理するためのグループポリシーオブジェクト(GPO)を作成したとする。パリの同僚は英語で作成されたそのGPOを選択し、ポリシー設定をフランス語で表示して編集できる。元のGPOを作成した管理者は、フランスの管理者が加えた変更内容も含めて、すべての設定を英語で見ることができる。

タスクスケジューラの徹底活用

 Windows XPとWindows Server 2003のタスクスケジューラは、指定された日時にタスクを開始することしかできない。Vistaでは、タスクスケジューラは各種のトリガや条件に基づいてより柔軟に機能し、セキュリティも向上する。

豊富なトリガ
 Vistaのタスクスケジューラは、各種の新しいトリガに基づいてタスクを開始できる。新しいトリガには、イベントログのイベント、コンピュータのアイドル状態への移行、起動またはログオン、セッション状態の変化(例えば、ワークステーションがロックされたり、ターミナルサービスセッションが開始されるなど)などがある。

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