ビジネスとITのギャップを埋めるBEAの「超ポータル」戦略BEA APAC Press and Analyst Summit Sydney 2006 Report

シドニーの「APAC Press and Analyst Summit Sydney 2006」でBEA Systemsは、インフォメーションワーカーの生産性改善にフォーカスし、ビジネスとITのギャップを埋める同社のポータル戦略を紹介した。

» 2006年07月13日 09時27分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 7月12日に開幕したシドニーの「APAC Press and Analyst Summit Sydney 2006」でBEA Systemsは、ポータルとBPM(ビジネスプロセス管理)のセッションを行い、インフォメーションワーカーの生産性改善にフォーカスし、ビジネスとITのギャップを埋める同社のポータル戦略を紹介した。

 「ビジネスサイドがプロセスと情報を組み合わせることができて初めてビジネスとITのギャップを埋めることができる」と話すのは、BEAでBusiness Interaction部門のプロダクトマーケティングを統括するジェイ・サイモンズ シニアディレクター。

 同社は、今年3月にBPMベンダーとして知られるFuegoを買収、やはり昨年8月に買収によって獲得した旧Plumtree部門と統合し、新たにBusiness Interaction部門を設けている。同部門の製品は、従来の同社ポータル製品と異なり、WebLogic Serverに依存せず、さらに.NET環境にもネイティブ対応しているのが大きな特徴だ。

Plumtree買収でBEA入りしたサイモンズ氏。2002年には東京オフィスで働いた経験もある

 BEAのポータルやBPMは、「凍結資産」のサイロを「流動資産」に変え、「Business Liquid-IT-y」のビジョンを実現するSOAソフトウェアファミリー、「AquaLogic」の重要なコンポーネントでもある。AquaLogicファミリーは、いわゆるエンタープライズ・サービス・バス(ESB)にデータ統合やセキュリティ機能を組み込み、そうした基盤の上にビジネスプロセスと情報を組み合わせることができる機能を載せている。

 「インフォメーションワーカーの現実は、ばらばらの情報と一貫性のないビジネスプロセスを手作業によってつないでいる。われわれのポータルやBPM製品は、人とビジネスプロセスにフォーカスしている」とサイモンズ氏。

 SOAアプローチによってIT部門が標準化を進めた情報やサービスという流動資産を、さらにインフォメーションワーカーが効率的に使える「ビジネスサービス」へと昇華させてやることが同社のポータルおよびBPM製品の役割だとサイモンズ氏は話す。

 旧Plumtree部門がポータル分野のリーディングベンダーだったこともあり、サイモンズ氏は事例の紹介にも多くの時間を割いた。

 「Starbucksの店長は、ばらばらのシステムと格闘、9割以上の時間をバックオフィス業務に浪費していた」とサイモンズ氏。Starbucksは、BIとレポートからなる旧来型の意思決定支援システムをポータルの導入によって改善した。

 「BIとレポートだけでなく、販促や新製品の情報、トレーニングマニュアルといったコンテントを追加、ベストプラクティスも共有できるようにすることによって、生産性は改善された。パーツの集まりという以上のものに昇華している」(サイモンズ氏)

 BEAでは、業界に特化したテンプレートとして、「AquaLogic High Performance Workspace for Retail」を投入している。コンポジットアプリケーションのショーケースとして分かりやすいだろう。

 なお、Business Interaction部門では、ポータル/ノンポータルを問わず、ポータルフレームワークの外でWebアプリケーションを組み合わせることができ、同時にIT部門の統制下に置いて体系的に管理できるようにするプロジェクト「Runner」、Wikiスタイルでアプリケーションを組み上げていくプロジェクト「Holland」、ソーシャルタギングをビジネスでも応用するプロジェクト「Graffiti」が進行中だ。サイモンズ氏によれば、9月のBEA Worldカンファレンスで技術プレビューされ、2007年上半期にはそれぞれ製品リリースが始まるという。

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