Microsoft、.NETに動的言語サポートを段階導入(2/2 ページ)

» 2006年08月10日 20時10分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK
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 ハグニン氏はさらに、MicrosoftがCLR上で提供する予定のライブラリについても説明した。

 「われわれがやろうとしているのは、動的言語の規格を作成するのではなく、動的言語ライブラリおよびその利用方法を示したガイドラインを提供することだ。機能を文字で示すよりも、コードに盛り込めるのであれば、その方がずっと良いというのがわたしの信念であるからだ。このため、ガイドラインで示した内容は、できるだけ多くコードに盛り込むつもりだ」とハグニン氏は話す。

 ラム氏は、すべての動的言語のうち「相当多く」の割合が、かなり似通っていると考えている。「任意の長さの整数のサポートなどは、PythonとRubyの両方が備える特徴だ。とはいえ、ほかの言語ではこれらの機能を自分で実装する必要がある」(同氏)

 ラム氏によると、これらの機能を実装するのは容易ではないという。「このため、こういった機能の一部を、複数の言語で共有できる共通のライブラリセットに組み込むことができるというのは、非常に重要なことだ」とラム氏は語る。

 Microsoftでは、ライブラリ群を提供するのに加え、.NET上で動作する一級品の開発言語を作成する方法を示す実動サンプルとしてもIronPythonを利用できるようにする方針だ。ハグニン氏は、「ライブラリという形で一般化できないものについては、『この言語の場合はこのようにして問題を解決した』といった形で人々に示すことができる」と話す。

 ハグニン氏は8月1日、Microsoftに入社して2周年を迎えた。

 2003年後半に.NETを初めて試した同氏は、.NETが動的言語にとってひどいプラットフォームである理由について記事を書くつもりだった。しかし独自に幾つかのテストを行った結果、.NET(特にCLR)はPythonに適した「素晴らしいターゲット」であることが分かったため、IronPythonと名付けたインプリメンテーションの開発に取りかかったという。その後、社員になったほうが良い仕事ができると感じたハグニン氏は、2004年8月にMicrosoftに入社した。

 「しかし、入社後最初の半年はひどかった」と同氏は振り返る。MicrosoftのVisual Studio 2005のリリースに向けた作業を手伝うのに、大半の時間を費やさなければならなかったからだ。しかしその後は、IronPythonの開発およびCLRチームとの共同作業に専念できたという。

 「わたしがMicrosoftに入ったのは、.NETの可能性に大きな魅力を感じたからだ。Visual Basicチームと一緒に仕事をするチャンスがあるというのは素晴らしいことだ。また、動的言語との親和性が高まるよう.NETを改良するチャンスがあるというのは、実にエキサイティングなことだ」(ハグニン氏)

 Lang.Netでハグニン氏は、IronPythonをVisual BasicおよびPowerShellに連携するために同氏が行っている取り組みの一部を参加者に紹介した。

 「もしあなたがPythonプログラマーで、Windowsマシンの管理者であるとしたら、PowerShellが提供する素晴らしいライブラリを利用できるということであり、Pythonコードを記述すべきでないという理由はどこにもない。あなたがVBプログラマーだとしても、PowerShellライブラリを利用するのが極めて自然な選択ということになるだろう。なぜなら、これらは非常に動的なライブラリであり、動的言語との相性も良いからだ」(同氏)

 ハグニン氏によると、Microsoftでは、PowerShellスクリプティング言語から利用するのと同じように、ほかの動的な.NET用言語からでもPowerShellライブラリを簡単に利用できるようにする方針だという。

 Visual Basicに関しても、Microsoftはこの言語の簡易性を生かす可能性を検討している、とハグニン氏は話す。「この簡易性は、人々が今日、動的言語に魅力を感じている理由と大いに通じるところがある。Rubyなどの言語に人気があるのは、簡易性と動的機能を備えているのが理由だ」

 「創生期のVisual Basicは、シンプルかつ動的な環境を提供することに関しては最先端の言語だった。このため、Visual Basicが新しい素晴らしい動的言語になる可能性が大いにあると、われわれは考えている。この新言語には、Visual Basic .NETに盛り込んだ素晴らしい機能はすべて残しながら、人々が求める動的感覚を追加するつもりだ」(同氏)

 ハグニン氏は、コードに簡単な変更を加えるだけで、Visual Basicを動的言語のように振る舞わせることができることを示した。「しかし現段階では、これは実験に過ぎない」と同氏は笑みを浮かべながら語った。

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