マイクロソフトがHPC市場に本格参入

マイクロソフトは、Windowsと連携するハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)ソフトウェア「Microsoft Windows Compute Cluster Server 2003 日本語版」の発売を10月2日から開始すると発表した。

» 2006年08月24日 20時34分 公開
[ITmedia]

 マイクロソフトは8月24日、Windowsと連携するハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)ソフトウェア「Microsoft Windows Compute Cluster Server 2003 日本語版」の発売を10月2日から開始すると発表した。これまでLinuxベースでの構築が一般的だったHPC市場にマイクロソフトが参戦することにより、現状でパートナー31社がそれぞれ対応ハードウェア、ソフトウェア、構築サービスの提供を表明しており、市場の活性化が期待される。

協力関係を強調するマイクロソフトのダレン・ヒューストン社長(左)と東京工業大学学術国際情報センターの松岡聡教授(中)

 従来のスーパーコンピュータに代わり、科学技術、金融、製薬といった分野の研究開発で利用されて注目を集めているのが、多数のPCサーバを連携させ、低コストで高い演算処理ができるHPCクラスターだ。Linuxベースが多かったこの領域に投入されたのが、Windows Compute Cluster Server 2003(Windows CCS)となる。

 同製品には、HPCクラスターの使い勝手を向上させるRDMA(Remote Direct Memory Access)や、HPCクラスターを構築する際に必要な業界標準であるMPI2(Message Passing Interface 2)と互換性を持つ通信ライブラリであるMicrosoft MPIなどが含まれている。また、「Compute Cluster Administrator」により、リソース管理、ジョブスケジューリング、パフォーマンスモニターなどの機能が提供される。GUIベースの操作で複雑な設定を完了できることが特徴だ。一方、並列処理のプログラム開発、デバッグ環境がVisual Studio 2005に統合されていることにより、効率的な開発環境もサポートされている。ベースとなるOSはMicrosoft Windows Server 2003 x64 Editions。

 この日、同製品の早期導入事例として、東京工業大学学術国際情報センターの松岡聡教授が講演を行い、同大学の大規模スパコングリッドである「TSUBAME」とWindows CCSを統合し、Windows環境をグリッドコンピューティング資源として活用するための研究開発を行っていく考えであることを示した。HPCを一部のユーザーだけでなく、大学の全ユーザーが利用できるようにしていくことが目的だ。

 各ハードウェアベンダーも、Windows CCS 日本語版に対応している。対応サーバを提供しているのは、HPCシステムズ、サン・マイクロシステムズ、Tyan Computer Japan、デル、ビジュアルテクノロジー、日立製作所、NEC、日本IBM、日本コンピューティングシステム、日本ヒューレット・パッカード、富士通の各社だ。

 Windows CCSをベースにシステム構築を行うパートナー企業、対応ソフトウェアを開発、販売する企業も多数紹介された。

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