危機管理はあなたの問題――GSSA

ジュリアーニ・セキュリティ&セーフティ・アジア(GSSA)のバイスプレジデント、四方寿太郎氏は、自分自身の問題として「危機管理」をとらえるべきだと述べる。

» 2006年09月13日 14時43分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「最近ようやく『危機管理』という言葉が日本の社会の中で認知され始めてきたが、これはまだ国家的な問題だという意識がある。国内で起こっているさまざまな事件を踏まえ、もっと身近な事柄を含めたリスクマネジメント、危機管理が必要だ』――ジュリアーニ・セキュリティ&セーフティ・アジア(GSSA)のバイスプレジデント、四方寿太郎氏はこのように指摘する。

 GSSAは、元ニューヨーク市長のルドルフ・W・ジュリアーニ氏が設立した、危機管理に特化したコンサルティング企業、米Giuliani Partnersの傘下にある企業だ。具体的には、同社のセキュリティ・コンサルティング部門であるGiuliani Security&Safetyの子会社である。

 同社のミッションは、ジュリアーニ氏がニューヨーク市長在任時に経験したさまざまな危機管理のノウハウを元に、ITセキュリティと物理セキュリティ、組織のセキュリティにまたがるコンサルティングを提供すること。米国同時多発テロの際の緊急時対応や「割れ窓理論」に基づく安心・安全の確保を支援するコンサルティングサービスを提供していく。

ジュリアーニ・セキュリティ&セーフティ・アジアのバイスプレジデント、四方寿太郎氏

 「残念ながら、リスクやセキュリティ、セーフティという言葉が自分の身に関わることであるという意識の有無において、日本人と欧米人とは感覚が違う」と四方氏。安定した社会を長く支えてきた「性善説」や「最後は政府が何とかしてくれるだろう」といった意識が、その妨げになってきたという。

 だが、もはやさまざまな意味での「安全」を人任せにできる時代ではなく、安全はタダであるという考えはもはや時代遅れだと同氏。特に、社員の安全を預かるリーダーには、安全や事業継続の確保に向けた責任を持ち、行動していくことが求められるとしている。

 ここで注意が必要なのは、言葉に踊らされたり、目先の認証取得に躍起になってパッチワーク的な対応にとどまらないようにすることだ。

 「コンサルティングにしても、便利で早くて体裁を整えられるものが求められがちだが、それでは真の問題解決にはならない。本当に問題なのかは何か、無駄や危険なところは何かを時間をかけて検討し、ポリシーの書き直しやアクセス権限の整備といったところに落とし込んでいくことで、自分にはどういった権限が任されているかが明確になり、社内の『風通し』が良くなる」(四方氏)

 こうした取り組みに適切な時間とコスト、労力を掛けることで、「われわれは戦略の1つとしてセキュリティに取り組んでおり、安心できる取引相手である」とアピールすることにもなるとした。

 同社では、そのヒントとなる情報を提供する場として、9月15日に総合危機管理講座創設委員会/9.11日本を守る有志の会が開催する「21世紀におけるグローバルな安全保障」と題したセミナーに特別協賛する。このセミナーではルドルフ・ジュリアーニ氏自身が来日して特別講演を行うほか、国内の危機管理の第一人者である佐々淳行氏とジャーナリストの手嶋龍一氏、東京都知事の石原慎太郎氏による鼎談などが予定されている。

 「リスク管理を実現していくには、企業や行政の中にスペシャリストが不可欠」と同氏は述べ、セミナーの講師陣の「生の声」をリーダーやスペシャリストに感じ取ってほしいとした。

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