BPMのパイオニア、Fuegoの資産を受け継ぐBEAInterview(2/4 ページ)

» 2006年09月25日 07時30分 公開
[浅井英二,ITmedia]

ITmedia BEAの傘下に入ることに抵抗はありませんでしたか。

ローク Fuegoは、同じよう顧客を抱えていたポータルベンダーのPlumtreeに製品をOEMしていました。BEAのCEOであるアルフレッド(・チュアング)らが訪ねてきて、協力関係が築けないか話を持ち掛けてきたのは、彼らがPlumtreeを買収する前でした。その6カ月前にもIBMやTibcoが訪ねてきましたが、この両社は単にわれわれの技術を盗もうとしていただけだったと感じました。

 いずれにも「ノー」と答えたのですが、BEAは再び訪ねてきて、サービスインフラストラクチャーであるAquaLogic製品ファミリーを説明し、欠けているプロセスオーケストレーションのスタックをわたしにやってほしい、と言いました。そのときは、会社が上手く行っていて、売る気はありませんでしたが、共同マーケティングや相互に製品を販売し合う提携は可能かもしれない、と答えたと思います。

 その後、BEAがPlumtree買収に動きました。やはりAquaLogic製品ファミリーで欠けていたポータルのスタックを埋めるのが狙いでした。

 PlumtreeへのOEMは、契約上、BEAにそのまま引き継がれないこともあって、BEAと再び交渉を始めました。わたしは、BEAとの話し合いの中で、ほかの大手ベンダーとは違って単に技術だけを欲しがっているのではないことを確認しました。

 BEAには買収によって手に入れたWebLogicという開発者向けの優れた技術があります。CEOのアルフレッドがそれを推進してきたと言っていいでしょう。しかし、彼はビジネス向けのサービスインフラストラクチャーであるAquaLogicファミリーの方が将来大きくなる事業だと考えていました。それはとても納得のいく話でした。 実際、直近の四半期では、AquaLogicのライセンス売り上げは20%も成長しています。

 また、彼は人が大切だということも強調しました。通常、CEOというのは、会社が買収されれば去るものですが、わたしは彼と意気投合し、AquaLogicをビジネス向けに売り込んでいくことに貢献できると彼に伝えたのです。

ITmedia 買収から5カ月が過ぎましたが、振り返ってどうですか?

ローク 旧Fuegoのスタッフはすべて引き続きBEAで雇用されていますし、それにとどまらず増員され、新たに生まれ変わった「BEA AquaLogic BPM」は、この5カ月でこれまでの年間売上高を上回る売り上げを記録しています。また、Fuego時代には、アジア太平洋地域でビジネスをしていなかったのですが、10月のローンチに向けて日本語版などの開発も進んでいます。

 われわれの主要な顧客層のひとつである金融機関はコンプライアンスに対処する一環としてわれわれのBPM製品を活用しています。日本市場においてもJ-SOX法が間近に迫る中、法令への対応を進める日本の金融機関がわれわれのBPM製品の導入を検討してくれることを期待しています。

 もちろん、コンプライアンスや監査証跡は、われわれの製品が解決する1つの側面です。それ以上に重要なのは、企業のビジネスを改善する、よりスマートにするということです。われわれのBPM製品は、企業のコンプライアンス対応を支援するだけでなく、経営の改善を支援できるのです。

 買収前の2年間、TibcoやIBM、Oracleといったベンダーといつも競合してきましたが、すべての案件でわれわれが勝ってきました。一度たりとも負けてはいません。買収されたことで、Fuego単体では得られなかったインフラ、サポートスタッフ、開発リソースを生かせるようになりました。これまで以上にビジネスを迅速に拡大できると期待しています。

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