セキュリティもSaaSで――マカフィーが企業向けセキュリティサービスを強化

マカフィーはアンチウイルスとアンチスパイウェア、ファイアウォールなどを統合したSaaS型セキュリティサービス「Managed Total Protection」を提供する。

» 2006年10月16日 16時57分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 マカフィーは11月7日より、企業向けのASP型セキュリティサービス「Managed Total Protection」の提供を開始する。これまで提供してきた「Managed VirusScan plus Antispyware 3.5」にデスクトップファイアウォール機能を追加するほか、最新のエンジンを採用するという。

 Managed Total Protectionは、インターネット経由でアンチウイルスとアンチスパイウェアといったセキュリティ機能を提供するサービス。新サービスでは名称を改め、マルウェアによる不正通信を遮断するデスクトップファイアウォール機能を追加するほか、スパイウェア対策機能の強化やインタフェースの改善などを施す。

 同サービスの特徴は、パッケージをインストールする手間をかけることなく、インターネット経由で容易に導入できること。このため、管理者の目の届く本社ネットワーク内の端末だけでなく、地方拠点やリモートユーザーのPCも同じように保護できるという。また、定義ファイルやエンジンのアップデートが自動的に行われることもメリットだ。

 さらに、ほかの個人向けセキュリティサービスに比べ「統合された管理機能が提供される点が大きな違いだ」と米McAfeeのシニアプロダクトマーケティングマネージャ、リリアン・ワイ氏は述べた。

米McAfeeのシニアプロダクトマーケティングマネージャ、リリアン・ワイ氏

 「Windows OneCareなどのコンシューマー向けサービスでは、1台のPCを保護することはできても、ネットワーク内のほかのPCまでは管理できない。Managed Total Protectionでは、定義ファイルが更新されていないのはどのPCか、最終更新はいつかといった事柄を管理インタフェースを通じて可視化し、さらにポリシーに基づいてコントロールすることができる」(同氏)

 また、クライアント間で最新の定義ファイルを持っているかどうかを確認し、少ないネットワーク負荷でアップデートを行う「ルーモア技術」や、インターネットに接続していないクライアントでもリレーサーバ経由でアップデートを取得する「Internet Independent Updateing(IIU)」といった、既存のサービスの機能も引き継いでいる。

 これまで「日本が世界で3分の1以上の売り上げを占め、5万以上の顧客に販売してきた」(マカフィー代表取締役社長の加藤孝博氏)という同サービスだが、今後はSaaS(Software as a Service)型セキュリティソリューションと位置付け、中小企業のほか、アウトソーシングによってコスト削減を図りたい大企業にも提供していく。

 「簡単に導入でき、包括的セキュリティを提供するという意味で、SaaSのメリットを最大限に生かしているサービスだ」(マカフィーマーケティング本部、プロダクトマーケティング部部長の葛原卓造氏)。

 なお、IDCの調査によると、2004年から2009年にかけて、いわゆるクライアント向けアンチウイルスパッケージの売り上げの成長率は年平均12.4%と見込まれるのに対し、SaaSの成長率は28.1%に上ると期待されるという。

 マカフィーは今後、同サービスをWindows Vistaや64ビットOSに対応させていくほか、SiteAdvisorによるWeb/ブラウザセキュリティの機能を2007年中に追加する予定だ。また、IPSやアンチスパムといったほかのセキュリティ機能も順次統合していく方向という。

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