グーグルもヤフーも太刀打ちできない!? 検索連動型広告がケータイで活躍中 後編(1/2 ページ)

モバイルインターネットの世界で検索連動型広告を手掛ける「老舗」ベンチャー、サーチテリア。インターネットにおける検索連動型広告業界の二大巨頭、グーグルとヤフーに挑むために編み出した、“超”特許な「秘密兵器」とは一体、どんなものなのか――。

» 2006年10月25日 08時00分 公開
[アイティセレクト]

 ヤフー(オーバーチュア、※1)の特許に抵触しない独自の仕組みを生み出し、検索連動型広告(※2)市場への参入障壁を切り崩しにかかったサーチテリア。その独自性はどこにあるのか。

 簡単にいうと、広告主による入札金額(CPC)で広告の掲載順位を決めるというオーバーチュアの手法に対し、CPCで広告の「掲載確率」を決めることに、サーチテリアは勝機を見出した。

表示確率とカテゴリ化 発想あふれる独自手法

 オーバーチュアの方法だと、最高値のCPCを付けた広告主の広告が1位枠に表示される。つまり、1円でも高い金額を付ければ、ほかの広告主にも1位で広告を表示するチャンスがある。

 一方、サーチテリアの場合、[1社の入札金額÷全社の入札金額合計]を算出し、それを各社の広告の「1位表示確率」とするというのが最大のポイントだ。例えば、A社40円、B社30円、C社20円、D社10円で入札した場合、一番入札額の高いA社の1位表示確率は、40÷(40+30+20+10)=40%となる。同様に、B社30%、C社20%、D社10%となる。つまり、計10回表示するとすれば、A社の広告が1位になるのは4回、B社3回…となる。

 このサーチテリアの仕組みは、モバイル(※3)では特に有効に働く。なぜなら、画面の物理的な大きさの制約上から、広告表示枠が限られるからだ。それは、1枠しかないといってもいい。つまり、1位で表示されることがない限り、広告主は出稿する意味はないのである。

 「(オーバーチュアなどのモデルだと)モバイルの検索連動型広告(への出稿)は体力のない会社には向かない。われわれの方法であれば、少額入札でも表示される機会はある。この方がフェアではないか」(同社代表取締役社長兼CEOの中橋義博氏)

 もう一つ特徴がある。

 検索連動型広告では、一般利用者が入力すると想定される言葉(キーワード)を網羅する技術が要求される。広告主に対し、広告に関連したキーワードを売ることになるからだ。多ければ多いに越したことはないが、的を射てないと意味がない。また、ただ多いだけでは管理が追いつかなくなる。モバイルの場合だと、キャリアごとにキーワードを選出しなければならないという技術的な制約もある。そのため、キーワードのリストアップ作成には膨大な手間がかかる。

 だが、検索連動型広告の単価は決して高くない。そもそも、モバイルインターネット広告市場はインターネット広告市場全体の10分の1ほどしかない。従って、成長ビジネスとはいえ、サーチテリアのようなベンチャーにとって効率の悪さは足を引っ張ることになりかねない。つまり、従来のように一つ一つキーワードを選出するやり方は理にかなわないのである。

 そこで、一定のキーワードをまとめてカテゴリ化し、広告主ごとにキーワードではなくカテゴリで売ることにした。もちろん、カテゴリ内のキーワードは常時チェックし、新語を登録したり入れ替えているほか、カテゴリ自体も増やしている。ただ、案件ごとに対応しているわけではないので、手間は大幅に削減される。こうして、モバイルインターネット広告として売りやすいモデルを築いたのである。ちなみに、このカテゴリ化は特許出願している。

※1 ヤフーの検索連動型広告を担っているのは、米ヤフーの完全子会社であるオーバーチュア。オーバーチュアはもともと米国本社(旧オーバーチュア サービシズ)の日本法人だったが、同本社が2003年に米ヤフーに買収され、同社の一部門(ヤフーサーチマーケティング)に統合されたのに伴い、米ヤフーの完全子会社となった。ただ、日本法人は社名変更されずに現在に至っている。

※2 リスティング広告、キーワード広告などとも呼ばれる。

※3 ここでは、携帯電話のことを指す。

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