大人ならスルー? スラッシュドット・ジャパンの秘密(1/2 ページ)

スラッシュドット・ジャパンのサイトデザインが、同サイトの運営開始以来はじめて全面的に変更された。同サイトの今後、そして、最近の記事動向について、先日見事に2006年度日本OSSフリーライダー賞を受賞した佐渡氏に聞いた

» 2006年10月31日 14時20分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 OSDN(Open Source Development Network:VA Linux Systems Japan OSDN事業部)は10月30日、同社が運営するスラッシュドット・ジャパンのサイトデザインを全面的に変更し、CSS対応を行った。サイトの見た目からのデザイン変更は2001年5月のスラッシュドット・ジャパン運営開始以来はじめてとなる。

 スラッシュドット・ジャパンは「アレゲなニュースと雑談サイト」というキャッチフレーズの下、オープンソースを中心にIT、科学関連の多方面におよぶ新技術、動向、事件を扱うマニアックな掲示板あるいはblogのようなサイトである。各記事には、匿名・非匿名かかわらずに読者が自由に「コメント」を投稿できる。扱う記事(ストーリー)は、読者からの投稿(タレコミ)としてサイト上から編集者グループに渡され、それを各編集者が選択・編集して掲載する、という方式が採られているため、ユーザー参加型のニュースサイトのようでもある。

サイトデザインが一新されたスラッシュドット・ジャパン

 OSDNによれば、今回のサイトデザインの変更は、本年9月に行われたサイト改修からつながる一連の改修作業だという。9月の改修では、スラッシュドットの各ユーザーの日記からタレコミを行う機能が追加され、日記にコメントできるユーザーの範囲も制御できるようになっていたが、この9月の時点で今回のデザイン変更のためのDBの修整も行われていたという。この一連の改修により、Slashdot.orgとテンプレート部分までを含めてほぼ共通したコードとなり、今後の機能追加などもSlashdot.orgから大きく遅れることなく行えるようになるとのことだ。


 今回のスラッシュドット・ジャパンのサイトデザインの変更に伴い、運営の最高責任者であるVA Linux Systems Japan OSDN事業ユニット長(兼マーケティング部長)の佐渡秀治氏に話を聞いた。

CGM時代にスラッシュドット・ジャパンはどこへ行くのか

ITmedia このところスラッシュドット・ジャパンへの注力を強めているように見受けられますが、何か理由でも?

佐渡 理由というほどでもないですが、今年の春、OSDN事業部でやっとはじめての100%専属の社員を雇うことができたので、それで加速している部分はありますね。とは言っても、ほかにSourceForge.JP、Open Tech Pressといった手間が掛かるサイトも運営していますので、スラッシュドットにばかり注力できるというわけではありませんけど。

 スラッシュドットに関しては、かなり古くて独自の修整が入ったコードをこれまで使っていたので、今回でかなりすっきりとさせることができました。何故これでうまく表示させることができているのかよく分からない謎のtableタグ構造を一掃できたのが、個人的には一番うれしいですね。今後しばらくはCSSの細かな調整が続くと思いますが、じきに落ち着いてくるでしょう。

ITmedia 今後の機能追加などの予定はどのようになっているのでしょうか?

佐渡 決まった予定は特にないです。追加してもいいかなと思う機能もありますが、しばらくはサイトの様子を見てから考えることにしています。

ITmedia では、SNS、BlogといったCGMが隆盛ですが、これらに追従するとか、あるいは対抗していくための何らかの戦略などは?

佐渡 えーっと……、特にないですね。

 真面目に答えれば、昔からスラッシュドットはSNSのようであり、Blogのようであり、まさにCGM的です。トラックバックがなくて、表にも晒されて誰でも参加できるという点ぐらいしか違いはないんじゃないですかね。

 5年前の開始時にはRSSでヘッドラインを配信しているようなサイトは国内にはゼロに近いし、Blogという言葉も聞かれなかった状態でしたので、サイトの仕組みとして先進性があるようなイメージが一部にはあったかもしれません。ただ、米国では既に一般的な技術ばかりでしたから、われわれとしては世の中の新しい仕組みを追ってきたというつもりはまったくありません。

 われわれとしては、われわれとユーザーにとって面白いネタを提供できればそれでいいということです。サイトの仕組みにおいて特定のキーワードを追うのではなく、その時々の時代においてわれわれのニーズに合ったものであればそれで十分なのです。さすがに、いままでのデザインは古すぎましたが、今回でやっと時代に追いついたかなというところでしょうか。

 正直なところ、われわれははてなにもmixiにもなれないし、なろうともしていません。われわれがすべきことはサイトに集まってくる変わった人たちのために何を提供できるか? ということを考えるだけでしょう。わたしとしては、スラッシュドットはこんな投票項目でも普通に違和感なく成立するようなサイトでいいと思っています。

 ただ、ずいぶんと置かれている状況は変わったなとは思います。数年前までは匿名コメントを許すメディアなぞけしからん! という状況でしたが、今やblogのおかげでスラッシュドットの方がまだ安心という見方も広告主にはされるようになってきました。これは運営資金となる広告収入を考える上では非常に良いことです。

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