「日本の小売業界にベストプラクティスを」── オラクル・リテール・ジャパン始動

日本オラクルが、小売業向け専任組織「オラクル・リテール・ジャパン」を発足させ、「Oracle Retail」を日本市場で本格展開することを明らかにした。

» 2006年11月20日 13時09分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本オラクルと日本オラクルインフォメーションシステムズは11月26日、日本の小売業向け事業の新戦略を発表、30人程度の小売業向け専任組織「オラクル・リテール・ジャパン」を発足させ、「Oracle Retail」を日本市場で本格展開することを明らかにした。

 「世界第2位の規模を誇る日本の小売市場は、今も洗練され、成長し、そして変容している。日本の小売業界はグローバル化が進む一方、顧客らは高い品質だけでなく、取引のスピードや決済の多様化も求めている」と話すのは、Oracleで日本アプリケーションビジネスを統括するディック・ウォルベン上級副社長。

 オラクル・リテール・ジャパンのシニアディレクターに就任するメラニー・ローズ氏は、「Oracle Retailは、米国小売業界の上位20社のうち17社が採用し、世界では1600社が顧客になっている。日本の小売業界にベストプラクティスを提供したい」と話す。

年商500億円以上の上位200社がターゲット

 日本オラクルが小売業界向けの新しい戦略でターゲットとするのは、ずばり年商500億円以上の上位200社だという。売上高の合計は50兆円、IT投資総額は5000億円に上る。

 日本の小売業者は、少子高齢化や消費の二極化が進み、消費者の行動が大きく変化する中、大規模な業界再編にさらされている。競合に加え、商品ライフサイクルの短命化やそれに伴う価格下落も収益に影響を及ぼしている。しかし、力のある小売業者は、こうした変化を機会に変え、さらには規制緩和を生かして金融、通信、医療、交通、運輸との融合も積極的に進めると予測されている。

 「もはや、ITを活用しなければ、競争力を維持することが難しくなっている」と話すのは、桑原宏昭エンタープライズアプリケーション営業統括本部長。

 「大手小売業の多くはシステムを手作りしている。われわれの狙いは、標準的な技術をベースとするOracleのソフトウェアスイートに移行してもらうことだ」(桑原氏)

ユニークな収益最適化機能やマーチャンダイジング機能

 Oracle Retailは、ERPのE-Business Suiteや人事管理のPeopleSoftとの連携が強化された以下のような小売業に特化したアプリケーション群から構成される。

  • Retail Profit Optimaization
  • Merchandising Planning
  • Supply Chain Planning & Optimization
  • Merchandising Operation Management
  • Supply Chain Execution
  • Integrated Store Operations

 中でもOracleが買収によって手に入れたProfitLogicの技術が統合されたRetail Profit Optimaizationは、他社にはないもの。特許出願中のアルゴリズムによって、売り上げ予測に基づいた値引き(マークダウン)の時期と価格を最適化し、売り切り率の改善と収益の最大化を図ることができるという。

 また、Oracleのアプリケーションは、アパレル業界で実績がある。マーチャンダイジング計画では、品ぞろえが最も重要になるが、Merchandising Planningでは、色、サイズ、スタイルのきめ細かな多次元多階層の商品計画を支援するという。

 もちろん、昨年、SAPとの激しい買収合戦の末に獲得したRetekの技術も生かされている。

 「過去18カ月、Oracleは多くの買収によってソリューションを強化してきた。RetekやProfitLogicの資産は、Oracle Retailにリブランドされ、統合されている」とローズ氏は話す。

 「われわれの包括的で標準的な技術をベースとするソフトウェアスイートであれば、いつでも好きなタイミングで必要とする領域から導入していくことができる。これがOracleアプリケーションの最大の価値だ」(桑原氏)

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