Oracle、SAPと買収合意のRetekにTOB仕掛ける

SAPと買収合意を交わしていた小売りソフトメーカーRetekに対し、OracleがSAPよりも高い価格でTOB(株式公開買い付け)を行うと発表した。(IDG)

» 2005年03月09日 09時19分 公開
[IDG Japan]
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 独SAPが米小売りソフトメーカーRetekを買収することで合意してから1週間、米Oracleがこの取引に横やりを入れ、SAPより高い価格で買収を提案すると発表した。

 Oracleのラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)は3月8日、Retekの取締役会に書簡を送り、9日朝にRetekの発行済み全株式に対し、1株9ドルでのTOB(株式公開買い付け)を開始すると伝えた。SAPは先週、TOBによりRetek株を1株8ドル50セントで買い付けることで合意した。総額は4億9600万ドルとなる。

 エリソン氏は8日のアナリスト向け電話会見で、「われわれはSAPのRetek買収が発表されたときから、この取引を慎重に評価していた。その目的の1つに、北米でのナンバーワンの地位を守ることがある」と語った。同氏は、Oracleは北米に2万3000の顧客を抱えており、これは「SAPよりもかなり多い」としている。

 Oracleは昨年3月からRetekと話し合いをしていたが、ビジネスアプリケーションベンダーPeopleSoftの買収を進行中だったため、取引に至ることはできなかったとエリソン氏。「PeopleSoftの統合プロセスにちょっと気を取られていた。SAPが買収に乗り出した時に反撃しようと決めた」

 Oracleの買収が受け入れられた場合、PeopleSoft買収のように複雑で憎悪を招く事態にはならないだろうと同氏は言う。

 1つには、5億2400万ドルというRetekの買収額は、103億ドルに上ったPeopleSoftの買収額よりもずっと少ないからだ。また、OracleとRetekには、PeopleSoft買収劇の特徴だった製品と人員の重複がない。

 「もう1つコードベースが増えることにはならない。製品の重複はない。Retekの製品はJavaで書かれた補完的なものだ。Oracleによる買収は社員に優しく、Retek株主により価値をもたらすと思う。Retek本社の人たちは満足するだろう」(エリソン氏)

 SAPの米国法人の広報担当者は、状況を調べているところであり、コメントはないと話している。Retekの担当者とは連絡が付かなかった。

 SAPは先週、Retek買収は、POSからサプライチェーン全体にわたる包括的なソフトシステムを提供する役に立つだろうと語っていた。この取引はRetekの取締役会から承認を得ており、規制当局の承認を待たず、4月初めに完了する見通しだった。

 Oracleは8日、過去2日間でRetekの発行済み株式の10%を買収したことを明らかにした。Oracleは既に統合後の製品ロードマップの草案を作成しており、Retek製品を「E-Business Suite」ポートフォリオに加える予定だと、エリソン氏はRetek取締役会にあてた書簡で述べている。

 OracleがTOBを発表する前、Retek株はNasdaq市場で8ドル59セントで8日の取引を終えた。SAPが2月28日に買収合意を発表する前は6ドルで取引されていた。

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