開発者の間でVisual Basicの利用が激減――Evans Dataの調査

北米の430人余りの開発者を対象に実施した調査では、「過去15年間を通じて最も人気の高いコンピュータ言語の1つである」Visual Basicの利用が開発者の間で激減していることが明らかになった。

» 2006年11月30日 16時39分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 先ごろ行われたEvans Dataの調査によれば、開発者の間でMicrosoftのVisual Basicの利用が大幅に減少しているようだ。だが、Microsoftは異議を唱えている。

 カリフォルニア州サンタクルーズに本社を置くEvans Dataでは、北米の430人余りの開発者を対象に調査を実施したところ、「過去15年間を通じて最も人気の高いコンピュータ言語の1つである」Visual Basicの利用が開発者の間で激減していることが明らかになった――この調査に関するニュースリリースで同社はこのように述べている。

 Evans Dataの「Fall 2006 North American Development Survey」によると、Visual Basicファミリーを利用している開発者は、昨年春以来35%減少した。

 さらに同社は、「予想された通り、開発者はついにVB6およびそれ以前のバージョンから離れ始めた。彼らはVB.NETからも離れ始めており、VB.NETの利用は26%減少した。これは、Javaが市場に浸透したことを意味する。Javaは現在、45%のシェアで市場をリードしている。それに続くのが、シェア40%のC/C++、そして32%のC#である」と記している。

 Microsoftでは、Evansの調査は必ずしもVisual Basicの現状を反映していないとしている。

 Microsoftの開発ツール部門のプロダクトマネジャー、マイケル・オニール氏は、「Evansのリポートをまだ見ていないので、同社の分析の詳細についてはコメントできない」と話している。

 しかしオニール氏によると、Visual Basicは依然として世界で最も人気のあるプログラミング言語であり、世界中で極めて広範な開発者が利用しているという。「Visual BasicおよびVisual Studioは今後も、開発者のニーズに応え続ける」と同氏。

 さらにオニール氏によると、MicrosoftのVisual Basic開発者ベースの間でVisual Basic 2005は世界的に強く支持され、伝統的なVisual Basicコミュニティーの外でもVisual Basic Expressのダウンロードが着実に増えているという。

 加えて、「Office 2007とWindows Vistaは、Visual Basic開発者がプログラミングのチャレンジに対して創造的なソリューションを見つけられるよう、さらに大きな可能性と柔軟性を提供する」とオニール氏は語る。

 「Microsoftの新しいInterop Forms Toolkitの導入により、Visual Basic 2005に移行するVisual Basic 6.0開発者が増えている。このツールキットは、既存のVisual Basic 6.0アプリケーション内にVisual Basic 2005の技術を深く統合することを可能にする」(同氏)

 Microsoftは「Visual Basic 9.0」の開発も進めている。Microsoftの開発者らによると、この製品は開発プラットフォームを現代化し、Web開発との親和性を高めるとともに、開発者がスクリプティング言語のような感覚でVBを利用することを可能にするという。

 一方、Evans Dataのジョン・アンドリュース社長は、「Microsoftは1990年代初めから言語市場を支配してきたが、現在では競争が非常に拮抗している」と指摘する。

 「スクリプティング言語やJavaの利用拡大が、VBの将来的な市場潜在力に制限を加えているようだ」(同氏)

 Evansの調査では、回答した開発者の70%以上が「来年にはWeb関連の開発を行う」と答えている。また、80%の開発者が「Rich Internet Applicationを開発するつもりだ」と答えた。

 さらにこの調査では、「Ajax(Asynchronous JavaScript and XML)スタイルの開発方式を利用している」という回答が昨年よりも10%増えて28%となった。

 Burton Groupのアナリスト、アン・トーマス・メーンズ氏は、「科学的な証拠を見たわけではないが、もしVBの利用が減少しているのだとしたら、開発者はおそらくC#、PHP、Rubyなどに移行しているのだろう」と話している。

 「VBの利用が減少している最大の理由は、(VB開発の中心である)デスクトップアプリケーションを開発する企業が少なくなっていることだ」とメーンズ氏は語る。

 「今日、注目を集めているのはWebアプリケーションだ。(オブジェクト指向でない)VB 6.0から(オブジェクト指向の)VB.NETに移行するのは大変だと考えているVB 6.0開発者にとっては、PHPやRubyに魅力を感じるだろう」と同氏は話す。

 「一方、オブジェクト指向のコンセプトを受け入れた開発者は、C#の方が魅力的に思えるだろう。これらの開発者の一部、特に可搬性の高いアプリケーションを開発する必要がある人は、Javaに進むかもしれない」(同氏)

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