過剰な内部統制ブームを批判、内部統制部会部会長の八田氏

内部統制部会で部会長を務める青山学院大学大学院の八田進二教授が、EMC Forum 2006 Tokyoで講演。日本版SOX法による内部統制ブームに乗じるコンサルタントやIT企業に対し、「目先しか考えないやり方はやめた方がいい」とクギを刺した。

» 2006年12月05日 18時27分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 EMCジャパンが12月5日に開催した「EMC Forum 2006 Tokyo」で、金融庁企業会計審議会内部統制部会で部会長を務める青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科の八田進二教授が講演。日本版SOX法による内部統制ブームに乗じるコンサルタントやIT企業に対し、「目先しか考えないやり方はやめた方がいい」とクギを刺した。また、11月20日に公開草案として公表された実施基準案については「好意的に受け入れられている」とした。

八田進二氏 八田進二教授

 八田氏は冒頭から「この2、3年でエセやにわか内部統制論者が増えている」と話し、内部統制に対する過剰なブームを批判。コンサルタント、監査法人、IT業界にとっては「光明」「ビッグビジネス」ととらえたようだとし、便乗的なビジネスの仕方に警告を発した。八田氏が「ITは放っておいても拡大していく。1、2年で元を取ろうという目先しか考えないやり方はやめた方がいい」と話すと、会場からは笑いが漏れた。

 実施基準案については「好意的に受け入れられている」という。「(内部統制部会の)すべての関係者の英知の結集」とし、米国のように2、3年でぶれるような内容ではないと自信を示した。「バラバラのところで作成された米国の作り方では無理が出る。しかし、日本は全部同じところが作成した。全部を通して首尾一貫した議論が行える」と八田氏。

 実施基準は、各組織が工夫できるように「標準化」したものであることを重視した。第1部では内部統制の要点を説明し、第2部では第1部に基づきチェックポイントを示しただけでなく、「経営者にとっても分かりやすい」ものになるよう配慮したという。

 八田氏は「内部統制には画一的なアプローチはない」と強調。経営者は、冷静に受け止め、身の丈にあった内部統制を構築するようにと話した。

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