勃発! 年末年始を巡る仁義なき戦い女性システム管理者の憂鬱(2/4 ページ)

» 2006年12月26日 08時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

本社情報システム部門での年末

 そんな拠点のシステム管理を経た数年後、中央の情報システム部内にセキュリティ対策グループが新設され、そこに異動となったわたしは再び年末を迎えていた。その年の10月に鳴り物入りで立ち上げられたそのグループは、立ち位置が今ひとつ不明確で、セキュリティに関するあらゆる分野のプランニングを手がける「上流工程部隊」とうたっているわりには、OSの修正プログラムの検証からその適用方法を説明するホームページの作成も手がけ、ウイルス発生時にはウイルス対策メーカーとの調整を一手に引き受けていた。

 その一方で、ウイルスの動きを説明する資料作成から駆除プログラムの動作確認までも自分たちでこつこつと作業するという、コテコテの運用まで守備範囲にしていた。そのため、上流部隊というよりは、運用のセキュリティ部分を切り出したイメージを持たれることが多かった。

 しかし、そのグループを仕切るA課長の意識は違っていた。営業企画出身のその課長は、あくまで上流にこだわり、運用は運用チームがやるべきことと公言してはばからなかった。しかし、ウイルス対応など緊急時に華々しい活躍がアピールできるイベントは、自分のグループで仕切りたいという矛盾した欲求もあり、運用チームのマネジャーとは事あるごとに対立していた。

A課長の戦い

 年末年始を目前にしたある日、長期休暇を念頭にしたセキュリティ対策を周知する話が持ち上がった。当然ながら、運用出身のわたしが周知文書の原案作成を任ぜられた。拠点の管理や運用チームでの経験をもとに、サーバからメールを完全にダウンロードするようにといった周知文を作成しようとすると、それならメールサーバにコピーを残す設定を解除させる説明ページがいるだの、IMAP設定はサポートデスクで推奨していないからその説明を付けると混乱するだの、わりと泥臭い話まで出てきてしまう。

 「どこが上流なんだよ」とどんよりしていると、自席のすぐ横で、これからお話しする“戦い”の火ぶたが切って落とされた。

運用マネジャー:「年末年始ですが、ウイルス発生や外部からの攻撃など、セキュリティイベントが発生した場合には、A課長のほうでも対応いただけるんですよね?」

 わたしがウイルス発生時の対策ベンダーの窓口を担当していたのだから「当然だな」と自然のことに受け止めた。どうせ家から会社までは地下鉄の初乗り圏内である。初詣のつもりで出社したと思えばいいか、などと勝手に思いを巡らしていると、ここで我がA課長が反撃に出た。

A課長:「うちは上流部隊ですから、そんなことでいちいちメンバーを出社させるのは筋違いです。いいですか、うちはセキュリティポリシーの大筋を策定したり、グループ社員の意識を高める企画を発信する部署なんですよ。今までだって、外部からの攻撃は運用チームの担当者が対応してたじゃないですか」

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