NECフィールディング 代表取締役 執行役員社長 片山徹氏――“強み”を失わずに収益性高める経営戦略(1/2 ページ)

国内最大規模のサービス拠点網を持つITサポートサービス会社のNECフィールディングが、これまでのハードウェア保守を中心とした形から、システム保守・運用をはじめとしたITサービスを幅広く手がける形へと事業モデルの転換に力を入れている。昨年6月にはNEC執行役員専務でパソコン事業の責任者だった片山徹氏がトップに就き、経営体制も一新。新社長が胸に秘める戦略展開とは。

» 2007年01月30日 09時00分 公開
[松岡功,アイティセレクト]

 「社長に就任しておよそ7カ月。これまでお客様へのご挨拶と当社の全国拠点を回って実態の把握に努めてきたが、あらためて保守事業の厳しい状況を実感した。そうした中で当社も今期までは3年連続の減収減益を余儀なくされるが、今期末に創立50周年を迎えるのを機に、来年度は増収増益に転じたい」

 昨年10月26日に行われたNECフィールディングの2006年9月中間期決算発表で、社長として初めて決算会見に臨んだ片山氏は、決算内容や事業戦略を説明した最後にこう結んだ。

 同社はNECのグループ会社で、スーパーコンピュータからパソコン、ネットワーク機器に至るまで多種多様なITシステムをサポートする幅広い技術力によって、ITシステムの導入から運用・保守までのトータルサービスを提供しているITサポートサービス会社である。最大の強みは、全国400カ所以上という国内最大規模のサービス拠点網を活用し、4750人のカスタマーエンジニアによる技術力とともに24時間365日の体制でサービスを提供していることだ。その強みをもとに、同社はさまざまな調査で実証された「顧客満足度(CS)ナンバーワン」という代名詞を持つ。

 事業領域としてはITサービス全体に広げつつある同社だが、実態として収益の基盤を成しているのはハードウェアの保守事業。これはもともとNECのコンピュータの保守子会社として成り立ってきた経緯があるからだ。その保守事業が、冒頭での片山氏のコメントにもあるように、ここ数年、市場全体として落ち込んでいる。とりわけハードウェアの保守料金はハードの価格と連動するだけに、オープン化によってハードの価格が下落すると保守も落ち込む。同社のこのところの減収減益基調は、その煽りを受けたものだ。

 そんな中で、片山氏はいま何を考え、どう動こうとしているのか。

ITサービス分野に知恵と元気を

アイティセレクト 社長に就任されて7カ月が経とうとしていますが、今の心境をお聞かせください。

片山 お客様のところへご挨拶に伺ったり、当社の全国拠点を回ったりしていたので、あっという間でしたが、実態を肌で感じることができました。実は私自身、これまで交換機事業で通信事業者さんや、パソコン事業でコンシューマー市場を担当してきましたが、オーソドックスに企業向けのビジネスを担当するのは初めてなので、とにかく早く感触をつかみたいと思っていました。

アイティセレクト NECフィールディングにとっても片山社長にとっても転機のタイミングですね。

片山 当社としては3期連続で今期も減収減益にならざるをえませんが、来期は何としても増収増益に転じなければなりません。そのために今下期は何とか増収だけでも果たしたいと思っています。

 増収というのは、対象となる市場が低迷・縮小しているとなかなか難しいのですが、当社が対象としているITサービス分野はまだまだ成長市場です。知恵と元気を出せば、成長率以上に伸ばせるチャンスだって必ずある。そうすると自ずと利益もついてきますよ。

 私個人としては、これまでいくつかの会社の社長を務めてきたので、その経験を生かしたいと思っています。とくに前職で担当してきたパソコン事業は、市場が低迷する中での激しいシェア争いで、とにかく徹底して効率を追求しないと利益が出ないという厳しい状況が何年か続きました。苦労して利益を出しても、市場が低迷したままなので希望が持てないという時期もありました。

 今回も当社の現状を考えると楽な場面ではありませんが、一時期のパソコンと違って市場に希望を抱くことができます。ですから、やりようは必ずあるし、やりがいも大いに感じています。

NECフィールディング 代表取締役 執行役員社長 片山徹氏
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