「勝ちパターン」教育こそ最強の成長促進剤“若葉マーク”社員を活性化させる「実感主義」の育成戦略(2/3 ページ)

» 2007年02月05日 09時00分 公開
[アイティセレクト編集部]

問題点に気づき熱いうちに手を打つ

 営業推進部部長の小岩浩美氏は次のように語る。

 「200名の新人に対して、トレーナーは3名でした。細かい指示やアドバイスはできないのでは、と思われるかもしれませんが、プロセスが可視化されているのでピンポイントでアドバイスができましたね。このシステムを導入する前に行った研修の成果と比較しても、新規アポイント獲得率は約3倍にアップして、研修期間のみで2000万円分の受注ができました。さらに、今年の夏から実施している大学3年生と内定者によるインターンシップ活動では、ビジネスマナーやスタンス形成だけでなく営業プロセスをSalesforceを活用しながら教えています。これによって、インターンシップ参加者は、自然と仕事のプロセスを学ぶことができ、営業の早期戦力化の促進になると感じています」

小岩浩美営業推進部部長

 何もかもが新鮮で、猪突猛進することが多い新人でも、実地研修で成果がなかなか出なかったり、的確なアドバイスが受けられないと、途端に意気消沈することがある。しかし、同社ではそのような心配はないようだ。具体的に何をどうすればいいのかが分かっていて、まず手順を踏めば間違いはないと分かれば、システムへの理解はそもそも早い。小岩氏も「積極的な意見もどんどん出てきて、プロセスの可視化の威力はすごいものがあるな、と感じました」と語る。

 ディップではプロセスの改革、システムのカスタマイズは今後も進めていくということだが、「新卒社員を採用し、ゼロから育て鍛えていきたい」という同社の戦略は、幹となるプロセスを作り出したことで大きく前進したと言える。中途採用の社員がそれぞれのスタイルで仕事を進めているケースは、非常に多いはずだ。ディップはその危うさに早期に気づき、手を打ったわけだが、そのままになっている会社も多いだろう。

 「営業は現場で学べ」という意見は間違いではない。しかし、それぞれの新卒社員がばらばらな手法を身につけて数年間を過ごすのは、非常に危険だと言える。会社が基本的なルール、手法を明示して、仕事のプロセスをオープンにしていないと、各若手社員の「行き詰まり」や「思い込み」が見えなくなってしまい、近くにいる先輩社員や上司も的確なアドバイスができなくなってしまう。経験を積めば積むほど行き詰まっていることが常態化し、他人に相談することもできなくなってしまうことが多い。

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