「勝ちパターン」教育こそ最強の成長促進剤“若葉マーク”社員を活性化させる「実感主義」の育成戦略(3/3 ページ)

» 2007年02月05日 09時00分 公開
[アイティセレクト編集部]
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若手の意見が改革、改善のきっかけに

 ディップの事例から分かることは、あらゆる仕事について言えることだが、基本的な仕事の手順が標準化され、具体的に仕事が進捗するプロセスがオープンになっていることが、経験の浅い社員にとって大きな支えになるということだろう。仕事が進捗、問題点、不安要素が見えやすくなり、自分の解決能力の向上を実感できるチャンスが多くなる。会社としては仕事の手順を標準化していることになっていても、現場ではばらばらになっているようだと、現実の仕事で若手社員は迷うことが多くなり、学んでいる実感が薄くなってしまう。

 若手社員はこうしたことに非常に敏感だ。「習うより慣れろ」という考え方だけでは、若手社員は自分の成長を実感できないのかもしれない。逆に研修で学んだ会社での仕事の進め方が、実際の現場でも同じように行われているということは、非常に安心感を与えるはずだ。

 取り組み方次第では、研修をきっかけに若い社員のモチベーションを大きくアップさせることは可能だ。また、若い社員の仕事に関する素朴な疑問を拾い上げ、検証することで、改善のきっかけをつかめる可能性もあるだろう。

研修と実際が乖離しないことが大切

 ディップの取り組みは本来現場でOJTとして行われる教育を研修にまで持ち込み、しかも、それがシミュレーションではなくいわゆる「実弾演習」に近いものだったというところがユニークだ。

 新人、あるいは若手の研修というと、どうしても、実際の仕事の場面ですぐに役立つ内容というよりも、基礎訓練に終始しがちだ。それに比べて営業における「勝ちパターン」を早くから教え込んでいくことは、実際の業務ですぐに役立つという意味で、若手の「学ぶ姿勢」をレベルの高いものにする。

 研修で学んだことが、実際に配属後の仕事でも基本として使える、ということは大切なことだ。研修で学んだことが実際には上司から否定され、別の方法を強制されるとなると逆効果になる。ディップでは、会社として幹となる営業パターンとして教育しているのだから、そのようなズレは起こりにくい。

 若い人材にはまず「常識」を教え基本を叩き込むことが大切だが、それはビジネスマナーや書類の書き方に留めていていいのだろうか。最も大切な「常識」はその会社が持っている「必須の勝ちパターン」だと考えるべきなのかもしれない。

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