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» 2007年02月01日 09時00分 公開

辞めた人を想うより、いま辞めようとしている人へ“若葉マーク”社員を活性化させる「実感主義」の育成戦略(1/2 ページ)

「大学新卒者は3年で3割が辞める」という新卒離職率。若い戦力を育てることが容易ではない時代となっているようだ。若手社員が退職する理由はさまざまだが、今回は「自分の将来に漠然した不安を抱え、成長している実感がない」という理由を起点にして、成長の実感を抱かせるにはどうすればいいか、それをサポートするITの仕組みは何なのかを探ってみた。

[アイティセレクト]

実感のない毎日に蝕まれるくらいなら

 平成18年度版「国民生活白書」に「新規学卒就職者の離職状況」という項目が掲載されている。これを見ると確かに、95年以降、入社3年以内で離職する大卒者は30%を超えている。

新規学卒就職者の離職状況
年卒 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02
1年目 9.4 10.7 12.2 14.1 13.8 12.9 13.9 15.7 15.2 15.0
2年目 7.8 8.8 10.6 11.0 10.4 9.8 11.3 11.6 11.3 10.8
3年目 7.1 8.4 9.1 8.5 8.3 9.3 9.1 9.2 8.9 8.9
離職率合計(%) 24.3 27.9 32.0 33.6 32.5 32.0 34.3 36.5 35.4 34.7
「国民生活白書」平成18年度版より作成

 若い社員が退社していく原因はさまざまだ。年功序列の壁に嫌気が指した、成果主義制度に納得がいかない、もっと待遇のいい会社が見つかった、などなどもっともらしい理由から、なんとなく、というものもあるかもしれない。

 若い社員を部下に持つ立場の人から言わせれば、「問題は今社員として働いている若手社員」だろう。辞めていってしまった人はしょうがない。しかし、平均30%の影に隠れる潜在的な「退社予備軍」に対してどう対処するかである。

 5年前に勤めていた住宅関連会社を辞めたAさんは、大学卒業後すぐにその会社に就職し、3年目に入る時に退職を決意したという。「会社の雰囲気も悪くなかったし、給料も不満はなかった。ただ、営業の現場でがむしゃらに働いて、後は何が残るのかと考えてしまった」

 このAさんから出てきた言葉が「成長する実感」だった。営業マンとして成績を上げていくことが成長だとは考えなかったのかと聞くとこんな返事が返ってきた。

 「成績は新人としては悪くなかったと思いますが、毎月うなぎのぼりにあがっていくことはないわけです。維持することが大切になる。このまま、一定の成果を維持するだけのために働いていくのかと考えると、とてもそれが自分にとっての成長だとは思えなかった」

成長を忘れた人たちへ

 「成長」という言葉を仕事の中でどうとらえるかは百人百様かもしれない。若い社員の中で「自分にとっての成長とはこういうことだ」と答えられる人は少ないだろう。Aさんのように壁につき当たったときに初めて端緒が見えてくるのかもしれない。

 「成長」という言葉を聞いて記者が思い出すのは、ある30代半ばの若い経営者のセリフだ。取材でその人物のプロフィールを細かく聞いた。彼は大学卒業後、会社員を5年ほど経験していた。その後起業をして現在に至るわけだが、勤めていた会社については悪いイメージはない、円満退社だったという。いい会社だったのなら辞めなくても良かったのではないですか?と質問を向けるとポツリと彼は「それはそうかもしれないけど、会社員ってある時から成長しなくなる人が多いでしょう。そういう風にはなりたくなかったんです」と言った。会社員の一人としてなかなか耳の痛い話ですねと返すと、「いやいや、中にはそういう人もいるというだけで」と彼は取り繕ったが、記憶の中で、成長することに鈍感になってしまった先輩がいたことは明らかだった。

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