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» 2005年11月01日 00時00分 公開

情報共有のあるべき姿情報共有を成功に導くための7つのヒント(中編)

[ITmedia]
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情報共有のあるべき姿

―― では、情報共有のあるべき姿とは、どのようなものと考えられるでしょうか。

昇塚氏 いままで情報共有と思っていたものが、実は情報共有でなかったと言えるのかもしれません。それは単にファイル共有やスケジュール共有であり、情報共有ではなかった。だから期待するような効果も出なかったのではないでしょうか。情報をためることはできたかもしれませんが、情報を使うという観点では情報共有ができていなかったと考えます。

澤氏 情報共有のあるべき姿として、この場での定義を行うならば、企業活動において「必要な情報が、必要とする人に、適切なカタチで、適切なタイミングで、正しく伝えられていること」であると言えます。

―― 必要な情報をユーザーに配信する仕組みとしてポータルがあったわけですが、それでは満足できませんでした。

澤氏 ポータルのようなツールは存在しますが、ポータルがあればそれだけで情報共有を実現できるのかといえばそうではなくて、これまでお話してきたように、まず情報を精査した上で「良いポータル」を構築する必要があるわけです。普通のポータルでもリンクをたどっていけば情報にアクセスすることはで可能です。ただ、ユーザーはできるだけ少ないアクションで精査された情報にアクセスしたいのですから、アクション数は少なければ少ないほど良い。精査された情報に対して即座にアクセスできるポータルでなければ、良いポータルと言えないのです。

岩崎氏 当社の例を申し上げれば、IISが出始めた1996年から1997年頃に、情報共有の仕組みとして単純なリンク集である社内ポータルを立ち上げました。ただ、部門が勝手にリンク集を立てただけで、管理する人はだれもいませんでした。当時の一番の問題は、全社で統一されたルールがなかったこと。オペレーションも、更新のタイミングも、記事の内容についてもバラバラで、その結果、とうとう各部門は自分たちで管理しきれなくなり、情報システム部門に丸投げされてしまいました(笑)。ポータルを導入した多くの企業が、当社と同じ経験をされたのではないでしょうか。まさに、良いポータルではなかったわけですね。

―― 具体的に、どのようなポータルが「良いポータル」なのでしょう。

益子氏 ポータルの利点の1つは、Webブラウザをベースとしたデザインをつくりやすいことです。情報共有においては、組織や業務、ニーズによってインタフェースを変える必要があるでしょうし、ポータルでパーソナライズして情報配信したい場合にはデザインを変更することも可能です。したがって、使う人の立場で使いやすい、または分かりやすいデザインがつくりやすいポータルも「良いポータル」といえるでしょう。その点は、グループウェアでは限界が感じられます。

岩崎氏 先に述べたように、いままでのポータルは単なるリンク集にすぎなかったわけですが、今日、マイクロソフト社内で活用しているポータルは、まったく次元の異なるポータルです。そういう意味では、ポータルを再定義する必要があるかもしれません。ユーザーから見て、情報を見つけやすいこと、検索しやすいこと、発信しやすいこと。システム部門から見て、ユーザー部門がコストをかけずに自由に、チーム用サイトや個人用サイトを構築でき、ポータル全体を一括して管理できること。これが良いポータルの重要な要件と言えます。

澤氏 情報が精査されたら、その情報にみんながアクセスできる状態をつくり出すためのアーキテクチャが必要になりますが、技術的に高いハードルがない状態で構築できるかどうかはポイントと言えそうです。コンテンツの配置を変える、デザインをするといった行為が簡単に行えること。管理者が替わったとしても簡単に行えること。そうしたポータルが良いポータルでしょうね。

益子氏 たとえばファイルサーバでひと目である申請書の雛形を探す場合を考えましょう。そのときファイルが目的の雛形であるかどうかひと目でがわかる必要がありますね。しかもユーザーは、それが何の雛形なのか、最新のものなのかも知りたいはずです。これらをファイル名で示すには、とても長いファイル名が必要です。ファイル検索に自信のないユーザーは、自分が再利用するときのことを考えて、新しいファイルを作ってそのファイル名に自分のイニシャルを加えるなどして保存するかも知れません。これではその人にとっては効率的かもしれませんが、ファイル数が増加したり、ファイル自体が分散化してしまい、使用者全体で見ると作業効率が悪くなる一方です。

 良いポータルの場合、申請書の雛形なら雛形のアイコンをクリックすると、即座に最新の雛形が一覧表示されます。一覧には、その雛形の概要説明も表示されている。これだけでもずいぶん探す効率は違ってきます。これは、ファイルサーバやグループウェアではできなかったことですね。

いままでのポータルとマイクロソフト社内ポータルとの違い

―― マイクロソフト社内で導入されているポータルと、従来までのポータルとの違いを教えてください。

昇塚氏 マイクロソフトでは、SharePoint Portal Server 2003(以下、SPS)を活用しています。SPSのメリットは、情報を配信するポータル部分と、従来ならグループウェアのようなツールが提供していたチームでの情報共有をサポートするチームWebサイトがあることです。ポータル機能とグループウェア機能を融合したことで、精査された情報を広範囲に配信するポータルサイトの一部として、チーム単位での情報共有を行えるチームWebサイトを作成できます。チーム Web サイト内での情報投稿や共有は情報システム部門の手を借りることなく、そのチームのメンバーであるエンドユーザーが自由に行えます。また、全社向けのポータルの一部として、チーム Webサイトを作成することで、チームで作成/精査した情報を企業全体に配信・共有させるという情報の流れをつくり上げることもできたのです。


マイクロソフト株式会社 IT,クライアント・サービス リージョナルIT - アジア・パシフィック&ジャパン ITアカウントマネージャー 岩崎 光洋 氏

岩崎氏 エンドユーザーは、チームWebサイトを自由にカスタマイズして情報を取得できますし、逆に情報発信のためのツールとしても利用できます。一方、ポータル全体の運用管理はシステム管理者が一元的に行えます。SPSを導入することによって、従来は部門ごとに導入していたグループウェアや個別のイントラネットポータル構築といった要件に、同時に対応することが可能なのです。

 現在、マイクロソフトでは、ワールドワイドで約8万のチームWebサイトが立ち上がっています。すでに、すべての社員がチームWebサイトを活用しなければ、効率的に仕事を進めていくことはできない状態にあると言っていいでしょう。そう言い切れるほど、SPSによる情報共有が定着していると言えます。

―― マイクロソフト社内の経験から、ポータルによる情報共有を成功させるためのポイントはありますか。

岩崎氏 見落とされがちなのは、ILM(情報ライフサイクル管理)の視点でしょう。作成された情報は、日々更新され、いつかは消えていきます。そのライフサイクルをトータルに管理できることが重要だと考えます。エンドユーザーはサイトをつくることには積極的ですが、それを更新してより有用なものとしたり、使わなくなったら消したりするところまでは見てくれません。これを放置するとノイズとなるゴミ・サイトがどんどんたまってしまいます。ノイズが増えるとポータル全体の効率が悪くなり、情報の精度は下がります。実際に、SPSを使う以前はゴミが増える一方でした。SPSの場合、一定期間使わなくなったサイトを消去するかどうかを、自動的にユーザーに問い合わせます。ILMをインフラでサポートしているため、情報システム部門はずいぶん楽になったわけです。

 また、サイトを作り込んでコストをかけ過ぎてもだめですね。作り込みをやっていくと開発工数がかかり、情報を発信するまでのリードタイムが増加します。すべてのコストが情報システム部門やサイトを開発できる人に集中してしまい、ポータル全体の情報発信のスピードが落ちていきます。これはお客様も抱えている痛みだと思います。


マイクロソフト株式会社 インフォメーションワーカービジネス部 製品マーケティンググループ シニアプロダクトマネージャー 昇塚 淑子 氏

益子氏 当社は技術に詳しい人が多過ぎるために、かえって作り込みが激しい傾向がありますね(笑)。人事異動でサイト管理者が替わると、作り込んでいるサイトであればあるほど管理できなくなり、機能しなくなります。特定の人の技量に依存しすぎて、すべてが引きずられてしまうことは避けるべきです。これは、コストの観点からも良くないですね。

岩崎氏 ITに詳しくない管理部門に対するトレーニングは重要です。サイトをつくるスキルが低いという理由で外部に開発委託していると、コストがどんどん膨らんでしまいます。それではSPSを使う意味がありません。

昇塚氏 実際にお客様から「ファイルの削除やリストの作成といった、基本的なことを教えてほしい」といったご要望も聞こえてきています。基本的な操作を覚え、全員が操作できるようにしたいと。全員が情報発信できるようにするためには、WordやExcelと同じようにワークスペースやポータルを使えるようにする必要がありますから、教育は、やはり重要ですね。

「良いポータル」を構築するために

―― 良いポータルによる情報共有を実現していくためのヒントを挙げていただけますか。

澤氏 ポータルの場合、「判断」が必要な点を考慮するべきでしょう。少し難しいかもしれませんが、「何がみんなにとって重要なのか」「この情報はみんなで共有すべきか」の判断です。チームWebサイトであれば単にファイルをアップしても良いのですが、ポータルにアップする場合は体裁を整え、どのような重みづけをして配信すべきかを判断する必要があります。そこに黄金律は存在しませんから。

昇塚氏 そうした判断を求められる全社向けの情報配信部分を担当する人とその人の役割を、きちんと定義することが大切ですね。ロールの定義とそのロールに対するアサインメントは、ポータルシステム全体を理解している人が行わなければいけませんから。


マイクロソフト株式会社 システムテクノロジー本部 インフォメーションワーカーテクノロジー部 ポータル&コラボレーショングループ ソリューションスペシャリスト 益子 滋 氏

益子氏 テンプレートやルールの整備も重要なポイントです。たとえばファイルサーバやグループウェアの上で企画書や提案書をつくる場合、バラバラのテンプレートを使い、バラバラのルールでツールに放り込んできました。その状態のままポータルに移行したとても、良いポータルにはならないでしょう。インフラを変えるタイミングで、テンプレートやルールを整理し、保存するときのファイル名やプロパティの付け方を整理すれば、情報を検索しやすくなり再利用しやすくなるはずです。

岩崎氏 システム管理者としては、情報の保持期間についてもルールを決めることが大切であることを指摘しておきたいですね。ポータル導入に当たって、事前にこうしたステップを踏んでおくと、エンドユーザー教育もしやすくなり、マニュアルも作りやすくなるでしょう。

益子氏 あらかじめ決められた運用ルールに合うデザインをつくり、決められたテンプレートをシステム側で用意しておくことで、テンプレートを簡単に呼び出せるようになります。すると、付けられたファイル名やプロパティを簡単に可視化でき、分類しやすい良いポータルにすることができます。


マイクロソフト株式会社 システムテクノロジー本部 インフォメーションワーカーテクノロジー部 ポータル&コラボレーショングループ ソリューションスペシャリスト 澤 円 氏

 そうした良いポータルを実現した部門は、他の部門を刺激するはずです。成功した部門がデータベースやサイトのデザインをテンプレート化し、それを他の部門に譲ることで良いポータルが全社に広がっていくでしょう。

澤氏 部屋の片付けに関する指南本に、「頻繁に使う爪切りのようなものは簡単に取り出せるところに置き、銀行印のようなものは、箪笥の引き出しに入っている整理箱を開けて、さらにその中の小箱に入れる」という内容がありました。これと同様に、ポータルの場合も頻繁に使う情報は、取り出すまでのステップ数が少ない場所、つまり取り出しやすい場所に置くべきです。テンプレートはまさに取り出しやすい場所に置くべき。こうしたルールの整備が、ゴミを減らすことにつながるでしょう。

岩崎氏 引っ越しをするときはできるだけ荷物を減らし、使うものだけを箱詰めして運ぶ。新しい部屋では少ない荷物から始め、配置をうまくやれば無駄なものは増えずに気持ちよくすごせます。ポータルを導入する際にはILMのルールをきちんと決めておけば、無駄なものが増えて使いにくくなることを防げるでしょう。



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提供:マイクロソフト株式会社
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2005年11月30日

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