スパムは「さまざまな脅威の媒介」――トレンドマイクロ

トレンドマイクロは、DHA攻撃やスピア型スパムへの対処機能を加えた企業向けのスパムメール対策製品「Trend Micro Spam Prevention Solution」をリリースした。

» 2007年03月05日 17時42分 公開
[ITmedia]

 トレンドマイクロは3月5日、企業向けのスパムメール対策製品を強化し「Trend Micro Spam Prevention Solution」としてリリースした。コンテンツフィルタリングによる検出に加え、手元に送られてくるスパムメールの数を減らす技術を組み入れ、多層的な対策を実現するという。

 Trend Micro Spam Prevention Solutionは、同日発表された企業向けの電子メールセキュリティ製品「InterScan Messaging Security Suite 7.0」のオプションとして提供される。両製品を組み合わせることで、ゲートウェイでのウイルス対策に加え、4階層でのスパムメール対策を実施し、総合的なメールセキュリティ対策を支援する。

 同社はこれまでスパムメール対策として、アンチスパムエンジン「TMASE」のほか、送信元サーバのIPアドレスの信頼性をデータベース化し、疑わしい送信元からのスパムメール受信をブロックする「Trend Micro Network Reputation Services」を提供してきた。

 後者は文字通り、スパム対策業界で主流となりつつある「IPレピュテーション」サービスの一種だ。同社のプロダクトマーケティングマネージャ、網野順氏は「元々はMAPS(Mail Abuse Prevention System)というサービスを買収によって組み入れたもので、高い実績がある」点が特徴だと述べた。また、トレンドマイクロ側で運用しているデータベースを、インターネット越しに利用できる管理コンソールが提供されるため、更新時にメールサーバの再起動などを行う必要がないこともメリットという。

 Trend Micro Spam Prevention Solutionではさらに、メールトラフィックをモニタリングし、Message IDごとに処理結果をプロファイリングする「IP Profile」というテクノロジーが実装された。一定時間内に、あらかじめ定めた閾値を超えるメールを受信するとスパムやメールアドレス収集を目的としたDHA(Directory Harvesting Attack)攻撃とみなし、そのIPアドレスからの通信をブロックする仕組みだ。これにより、DHA攻撃を防いで、はじめからスパムメールを送られないよう予防するほか、特定の組織や個人を狙ったスピア型スパムをブロックする。

IP Profilerでは、存在しない受信者に向けたメールの量が一定時間内に閾値を超えると、接続をブロックすることができる

 同時に、アンチスパムエンジン自身も強化した。2006年後半より増加が目立ち始めた画像スパムへの対応を強化し、ノイズデータなどを加えた「亜種」をブロックする機能もサポートしているという。

 「スパムメールは、フィッシングやWebベースの脅威など、さまざまな脅威の媒介になっている」と網野氏。しかもスパム配信が商業化したことにより、コンテンツフィルタリングやIPレピュテーションといった既存の2階層のスパム対策をすり抜けて手元に届くことも多いとした。中には、上司やシステム管理者などを装って、ユーザーのIDとパスワードを聞き出そうとするスピア型スパムの事例まで報告されているという。

 これに対しTrend Micro Spam Prevention Solutionでは、IP Profileを加えることにより、DHA対策によるスパム送信の防止からIPレピュテーションによる送信元のブロック、スピア型スパムのブロック、コンテンツフィルタリングという4階層でのスパム対策を実現するという。

 なお、同時リリースのInterScan Messaging Security Suite 7.0では、大規模な環境での運用向けに管理機能を強化したほか、スパムの原因でもあるボット対策として、ファイルの圧縮形式に基づいて危険なファイルを検出する「IntelliTrap」機能を搭載した。

 価格は、InterScan Messaging Security Suite 7.0が50アカウントの場合で29万2500円、Trend Micro Spam Prevention Solutionオプションは同じく14万円。同日より出荷を開始している。

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