社内や社外を問わず円滑に業務を行える環境と管理者も安心できるセキュリティがテレワークやフリーアドレスの条件だ。「効率と堅牢」という、相反する要素を満たすソリューションを探った。
社内だけでなく外出先や自宅でも業務ができる柔軟なワーキングスタイルとセキュリティをどのように両立させるか――多くの企業が直面しつつある課題だ。
社外でも社内と同じように業務が行えるテレワークは、社員の生産性向上やオフィスコストの削減、優秀な人材の確保などのメリットがある。社内に固有の席を持たないフリーアドレスも、個人作業や会議などの目的に応じて専用スペースを利用することで、社内業務の効率を高め、オフィスコストを削減できる。
一方で、情報保護や来春施行のJ-SOX法に伴う内部統制強化など、セキュリティの意識は年々高まっている。多くの企業ではデータを持ち出さないことを前提にしたセキュリティルールを導入しているが、ルールの厳格な運用は業務効率を阻む要因にもなりつつある。
NTTアイティユビキタスシステム部の迫良寛担当課長は、「必要最低限のデータと社内外で円滑にPCを業務利用できるソリューションが必要とされている」と話す。同社では、シンクライアントソリューション「シェアードPC」とリモートアクセスシステム「マジックコネクト」を展開し、セキュアなテレワークやフリーアドレス環境を支援するサービスを行っている。
シェアードPCは、サーバベースコンピューティング(SBC)式のシンクライアントシステムとは異なり、OSやアプリケーションを管理するネットワークブートサーバとユーザーのデスクトップ環境を一元管理するシェアードPCサーバを併用する。
ユーザーのデスクトップ環境を仮想イメージとしてシンクライアント端末に取り込み、通常のデスクトップ環境と同様にOS起動やアプリケーションが利用できる。これによりPCの盗難や持ち出し等によるユーザーデータの情報漏えいを防ぎ、シンクライアント端末のリソースを有効利用できるため、通常のPC並みの処理性能を実現している。また障害時の迅速な復旧にも優れているという。
マジックコネクトは、個人用のUSBキーを社内や外出先や自宅などのPCに挿して認証を行うだけで、社内のデスクトップ環境を呼び出して業務を行うことができる。やり取りされるデータは暗号化された画面データのみで、手元のPCにデータが保存されない仕組みだ。印刷も管理者が承認したプリンタのみで行える。これらの機能により、情報漏えいを防ぐことができる。
シェアードPCとマジックコネクトを利用することで、セキュリティと障害対策を伴った効率的な業務環境を持つテレワークやフリーアドレスを実現できるという。マジックコネクトは400社以上で導入されており、シェアードPCも国会図書館など官公庁を中心に導入が本格化しつつある。
迫氏は、「社内業務とテレワークの両面から情報を安全に守れる仕組みを作り、企業の生産性向上を支援したい。モバイル環境では、例えば喫茶店などでPCを覗かれるだけでも情報漏えいになる。ファシリティ面から社外でも情報を守れる環境整備に取り組みたい」と話し、レンタルオフィスとの連携も含めたセキュアワーキングスタイルの実現を目指している。
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