サーチの「条件」 企業の戦略、論理を結果に反映できるかよく効くエンタープライズサーチの処方箋(1/3 ページ)

検索結果はベンダー任せにしない――。今後のエンタープライズサーチは、検索過程を可視化して、企業の論理を検索に反映させるソリューションが主流になるかもしれない。

» 2007年03月08日 08時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

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 ファストサーチ&トランスファ(以下、FAST)は、ノルウェー工科大学からスピンアウトし、97年にオスロで設立した企業だ。マルチメディア圧縮技術やパラレルプロセッシング技術を持つ同社が開発した、一般向けのWeb検索エンジン「alltheweb.com」は、100億超のWebページをクロールし、30億のWebページのインデックスを保有することから、当時はGoogleをしのぎ世界最大規模とされた。

 しかしFASTは、allthewebを03年にオーバーチュアに売却し、AltaVistaの企業部門を買収することで、エンタープライズサーチ市場に傾注。ミッションクリティカルな分野でビジネスを展開し続けてきた。

 同社のCEOであるジョン・マーカス・ラービック氏は、「Googleはサーチ技術の追求を放棄し、インターネット広告ビジネスに特化していった。こと検索技術に関しては、FASTの方が2年先を走っている」という信念を語っている。

ブラックボックスとホワイトボックス

 「エンタープライズサーチ市場に新しいマーケットができつつある。先端的な企業は検索技術を新しい付加価値創出に利用し、サーチの適用分野は増加している」――そう語るのは、FAST日本法人の徳末哲一代表取締役社長。今年2月21日に開催した同社のFY07ビジネス戦略指針説明会でガートナーのマジッククアドラント・レポートを引用した徳末氏は、「インフォメーションアクセス分野において、05年から実行能力や財務内容、顧客数などで業界リーダーの位置を占めるようになってきた」と同社の成長性を強調する。

画像 「サーチの最大の価値とは、ユーザーセントリックな視点を確保することにある」と話すファストサーチ&トランスファの徳末哲一代表取締役社長

 一方、GoogleやIBMがリーダーの位置にいない理由について、インデックス部分がブラックボックス化されたまま提供されている点を指摘する。「サーチ機能を提供する上で重要なことは、その結果に企業の論理や戦略、マーケティング上のサービスなどがきちんと反映できるかどうかにある」(徳末氏)。

 徳末氏によると、それをホワイトボックス化することで、ユーザーへの検索結果を在庫が多い商品や利益率の高い商品を優先して反映させている企業や、住民に役に立つ情報やキャンペーンに関連した情報を提供している公的機関の例があるという。

 「エンタープライズサーチにはそのような戦略や論理はあってしかるべきで、検索結果がベンダー任せというのはビジネスの世界では許されない。それが、ビジネス検索と一般検索の大きく異なる部分だ」(徳末氏)

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