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» 2007年04月17日 16時28分 UPDATE

インターネットアプリで火花を散らすMSとAdobe、チゼンCEOは「真の革新」を強調

MicrosoftとAdobeがラスベガスのNABカンファレンスで火花を散らす中、ブルース・チゼンCEOは都内のホテルで、「ユーザー体験に真の革新を起こす」と話した。

[浅井英二,ITmedia]

 MicrosoftとAdobe Systemsがラスベガスで開催されている放送機器カンファレンス、NAB(National Association of Broadcasters)において、それぞれ「Silverlight」(旧WPF/E)と「Adobe Media Player」を発表して火花を散らす中、Adobe Systemsのブルース・チゼンCEOは都内のホテルで、日本人プレスを前にこう話した。

 「YouTubeに代表されるような“RIA”(Rich Internet Applications)の素晴らしい例が登場している。企業や官公庁もそれぞれののユーザーに対してリッチな体験を提供したいと考え始めている。Adobeはそれを支援したい」(チゼン氏)

chizen02.jpg 「第1四半期は堅調、2007年度は計画どおり15%増の30億ドルを目指す」とチゼンCEO

 MicrosoftとAdobeは互いにパートナーとして同じ道を歩んできたが、2005年末にAdobeがMacromediaを買収してからは、インターネットアプリの盟主の座を巡り、袂を分かっている。

 旧Macromediaは、Adobeの傘下に入る前の2005年7月、Flashプラットフォーム構想を発表し、Flashとその関連技術をリッチメディアに限らず、エンタープライズ向けやモバイル向けのアプリケーションのための統合プラットフォームとして展開していくことを明らかにした。わずか2カ月後の9月中旬には、Microsoftが「Expression」シリーズを発表し、両社が真正面からぶつかることは決定的となった。

 Flashはそれまで、エキスパートでなければ革新的なユーザーインタフェースをつくることが難しく、普通の開発者には敷居が高すぎたが、Adobeが2006年夏にEclipseベースの「Flex 2」を投入すると、より多くの人たちがリッチなユーザー体験を提供するインターネットアプリケーションを開発できるようになった。

 Flex 2は、FlashベースのWebアプリケーションを構築するための開発フレームワーク。FlashのスキルがないJavaデベロッパーでも、リッチなユーザー体験を提供できるのが特徴だ。

 これもまた、旧Macromediaからの取り組みだが、Adobeは3月中旬、Flash Player、Adobe Readerに次ぐ、第3の実行環境として「Apollo」(コードネーム)を開発者向けにα版を公開した。HTML、Flash、およびPDFという普遍的な標準技術を1つの環境で実行できるほか、Webブラウザのプラグインではなく、OS上で直接動作するため、オフラインでも使い続けることができる。当初は、WindowsとMacintoshだが、そのあとLinuxもサポートする。また、携帯端末についても、どの機能を盛り込むべきか検討しているところだという。

apollo.jpg Adobe Systems ApolloBookでは、HTMLエンジンがレンダリングし、それをFlashの中ではイメージとして扱っているため、ページをめくるメタファも可能となっている

 「Apolloの最終的なゴールは、PhotoshopのクリエーターやFlex、AJAXの開発者らが、液晶パネルが付いていれば、どんなデバイスでも再生できるRIAを簡単に作成できること。目指すのはDTPと同じだ。魅力にあふれ、説得力のあるコンテントがだれでも作成できるようになる」とチゼン氏は話す。

Adobe Media Player vs. Silverlight

 チゼン氏は、メディア企業が注目するNABカンファレンスで発表したばかりの「Adobe Media Player」についてもデモを交えながら言及した。

 「より高品質なFlashビデオをオフラインでも再生できたり、著作権を保護するソリューションも用意されている。これもApolloベースで構築されている」(チゼン氏)

mediaplayer.jpg NABで発表されたばかりの「Adobe Media Player」

 Adobe Media Playerは、コンテントプロバイダーがビジネスをするためのプラットフォームと言っていい。RSSフィードされたビデオコンテントに対して個々にブランディングされたチャンネルからアクセスできるほか、広告配信の仕掛けも用意されるという。

 一方、Microsoftは、Windows Presentation Foundation(WPF)のクロスプラットフォームバージョンである「WPF/E」に新たな名称として「Silverlight」を与え、VC-1のサポートをアピールする。

 VC-1は、全米映画テレビジョン技術者協会によってビデオ圧縮標準として認められており、HD DVDの必須コーデックの1つとなっているほか、ブルーレイディスクでも採用されている。Microsoftでは、Silverlightを使えば、デベロッパーやデザイナーは.Net Frameworkベースのスキルを生かして、メディアやリッチなインターネットアプリケーションを提供できるとしている。

 この日、チゼン氏が何度も口にした「RIA」も、Microsoftは「Rich“Interactive”Applications」と読み替え、対決姿勢を鮮明にするが、チゼン氏も「(OSやブラウザに依存しない)Apolloでユーザー体験に真の革新を起こす」と一歩も引かない。

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