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» 2007年05月23日 04時41分 UPDATE

IBM IMPACT 2007 Report:SOAはゲームで学べ――IBMの「Innov8」がお披露目

IBM IMPACT 2007で公開されたSOAの教育用ゲーム「Innov8」。現実と同等の事象を多分に含んだ環境でSOAを楽しみながら学ぶ。近い将来、SOAをゲームで理解した新入社員がゲームをやらない上司にSOAの何たるかを説く日が来るのかもしれない。

[西尾泰三,ITmedia]

 フロリダ州オーランドで開催中の「IBM IMPACT 2007」。SOAのさらなる発展を主なテーマとする同イベントでひときわ注目を集めたのは、なんとゲームであった。

 SOAの教育、厳密にはBPMの教育を目的に開発されたこのゲームの名前は「Innov8」。現在はプロトタイプながら、3D空間の中に存在する仮想オフィスにおいて、より効率の良い会社の構築を目指すというクエスト型のストーリーゲームとなっている。もともと、デューク大学とノースカロライナ大学の大学院生が共同で年に一度開催している「IBM SOA事例研究コンテスト」で生まれたコンセプトを基にしているという。同コンテストでは、ITとビジネスのギャップを埋めるために、どうBPMやSOAのコンセプトを伝えるかといった方法論がテーマとして掲げられたようで、そこで出てきたコンセプトを基に、IBM社内で20人ほどのチームが4週間で作成したのが、展示されたプロトタイプである。プロトタイプでは、コールセンターが舞台となっており、ある嵐の夜、プレイヤーは旧来の煩雑なビジネスプロセスを朝までに改善するよう求められ、社内を奔走する……といったストーリーラインとなっている。

 プロトタイプのため、デモでは15分ほどでエンディングにたどり着いたが、2007年10月に公開予定の正式版では、上述の学生なども開発に参加し、ストーリーラインも含め、さらに作り込まれたものになるという。

DSC_1072.jpg 冒頭のムービー。窓の外の嵐がこれから起こる波乱を予感させる

 ゲームとはいえ、その中で行われるのは現実の企業で起こりうるケースが想定されたものとなっている。つまり、業務に対して理解が十分でない従業員について、その理解不足をどう解消するか、また、会社のビジネスプロセスをどう改善するかを考え行動していく。仮想オフィスに降り立ったプレイヤーは、上司から下された一連のタスクについて、仮想オフィス内に存在する従業員などとの会話を通じて問題点を探り、それを報告する。そしてその成果がスコアとして表示されるという流れだ。

DSC_1079.jpg さまざまな人物との会話や、ホワイトボードなどに書かれた図などを頼りにビジネスプロセス改善の糸口を探る
DSC_1078.jpg 日本語版の予定は未定。また、展示会場で説明を行っていたIBM社員によると、将来的な可能性として、業種ごとに特化したビジネスプロセスを盛り込んだバージョンなどもあり得るという

 初日の基調講演でInnov8を紹介したIBMのSOAおよびWebSphere戦略/マーケティング担当バイスプレジデント、サンディ・カーター氏が語ったように、SOAの普及を妨げている大きな要因として、「SOA技術者のスキル不足」が挙げられる。技術とビジネスの両面から考えることのできる人材を育成する方法として、目的があらかじめ設定されているものの、ユーザーの知識などが異なるため、“気づき”が多様な観点から得られやすい学習手法であるゲーミングシミュレーションを選択したのは、ゲーム世代にとってはなじみやすいものになると予想される。こうしたゲームを通してSOAの知識を深めたユーザーの何割かが、自らの企業が現実に抱える問題を解消するための選択として、IBMが提供するソフトウェアやサービスをの選択すれば、それはIBMにとって益となる。そうならなくても、SOAへの理解を深めた人材が多く存在することは、長期的には市場を形成する原動力の1つとなるため、IBMからすれば間接的にプラスになると同社は考えているようだ。なお、SOAやBPMそのものを学ぶことが目的であるため、IBMのミドルウェア製品群が固有名詞として登場することはないという。

新人が上司にSOAを説く日が

 Innov8は見た目がSecond Lifeと非常に酷似している。Second Lifeをマーケティングや教育の観点から活用しているIBMだけに、基調講演でInnov8を目にしたときは、Second Life内で展開されているのかと錯覚したほどだ。しかし実際は完全なオフラインゲームで、操作もジョイスティック(展示会場ではXboxのコントローラをUSB接続で用いていた)で行える。

 Second Lifeを運営するLinden Labは2007年3月、Second Lifeサーバのオープンソース化、もしくは、Second Lifeのコードを他社へライセンスする計画を示唆している。これが実現されれば、Linden Lab以外の企業が、Second Lifeと同様のオンラインゲームを比較的容易に提供できるようになる。もしかすると、IBM自身がInnov8をオンラインゲームとして提供する可能性も考えられる。オフラインゲームは幾ら秀逸でも結果はあらかじめ決まっている。オンライン化することで、ほかのユーザーの行動も因子に含めた意志決定が求められるようになるため、ゲーミングシミュレーションとしてはさらに高度なものとなる。こちらは期待を持って見守りたい。

 現実と同等の事象を多分に含んだ環境でSOAを楽しみながら学ぶ。近い将来、SOAをゲームで理解した新入社員がゲームをやらない上司にSOAの何たるかを説く日が来るのかもしれない。

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