ホームレスの実態から見る景気の回復具合は?景気探検(2/2 ページ)

» 2007年05月30日 07時00分 公開
[景気探検家・宅森昭吉,アイティセレクト編集部]
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 景気は07年初に多少のもたつきはあっても、08年にかけて拡大局面が続きそうだ。

 エコノミストの景況感の先行きのコンセンサスである総合景気判断DIによると、1〜3月期は56.3%ともたつく。しかし、その後4〜6月期は71.9%へ持ち直し、7〜9月期以降08年4〜6月期まで92.2%の高水準が続く見込みだ。

 身近なデータも、多少不透明さはあっても緩やかな景気拡大基調継続を裏付けるものが多い。

 全国の市区町村が巡回による目視でホームレスの人数を調べ、厚生省が集計した「ホームレスの実態に関する全国調査」によると、全国のホームレスは今年1月時点で1万8564人であった。この調査は、今回が2回目である。02年にホームレス自立のため各自治体に施策を講じるよう求めた「ホームレス自立支援特別措置法」が施行されたが、その翌03年に調査が行われ、2万5296人という結果だった。4年前から6732人減と3割近く減ったのは、自治体の自立支援策の効果もあるが、景気回復が後押したところが大きいだろう。

 また、東京都福祉保健局の調査によると、東京23区内のホームレスは07年2月調査で3402人、06年2月の3773人に続き2年連続で3千人台になった。前年比371人の減少だ。厚生労働省のデータから中期的に見ても、東京都のデータから短期的に見ても、雇用の限界的データと言えるホームレスが景気回復局面の中で着実に減少してきたことが分かる。

(「月刊アイティセレクト」2007年7月号の「景気探検 第63回 時代を読む」より)

たくもり・あきよし

「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。


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