仮想化で電力消費をこんなに抑えられる!データセンターのムダを排除せよ

サーバやストレージが急速に増え続けている昨今、データセンターにおけるエネルギーの効率化は、大きな経営課題になっている。仮想化技術は、ともすればその消費電力を半減することができるという。

» 2007年06月21日 07時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),アイティセレクト]

電力が足りない!!

 データセンターにおけるエネルギー効率化という課題は、すでに大企業内に一大運動を引き起こしている。例えば、IBMはその効率化を目指し、「プロジェクト・ビッググリーン」を推進中だ。

 同社でグローバル・テクノロジー・サービスのバイスプレジデントを務めるスティーブン・サムス氏は、「データセンターには3つの問題が存在する」と語る。まず、情報量の急増により需要が拡大していること。次に、エネルギーコストがTCO全体の大きな部分を占めるようになったこと。そして3つ目が、テクノロジーの進化とデータセンターのポテンシャルに大きなミスマッチが生じていることだ。

 IDCの調査では、2000年から2010年までの10年間で、サーバの台数は6倍に、ストレージの台数は69倍になる。既にデータセンターでは電力消費が深刻な問題になっており、2011年にはIT投資の4割が電力に消費されると予測する。

 10年前、ラック単位で1〜3キロワットだったサーバの電力消費は、ブレードテクノロジーの登場により、同じラックサイズのフルロード時で20〜32キロワットに上昇している。よって、フロアスペースは空いていても、電力が足りずサーバを増やせない状況になっているのだ。

 また、典型的なデータセンターのエネルギー・プロフィールを見ると、サーバ/ストレージ/通信に利用される電力は全体の3割程度で、残りは空調やUPS(無停電電源装置)などのサポート領域に当てられている。そのチラー(冷却装置)にかける電力だけで全体の3割も占めていることから、データセンターに投入された電力の、実に99.9997%が熱として捨てられている計算になるという。

 それから3つ目の問題として指摘されていることとして、日本のデータセンターの86%は2001年以前に構築されているという実態がある。そのため、陳腐化したデータセンターの能力に合わせて企業の情報化が進められているという、まさに本末転倒な事態が起こっている。

仮想化で消費電力削減を図れ

 電力消費もさることながら、現時点のデータセンターにおける平均的なサーバ稼働率は8〜12%程度といわれ、残りのリソースは使われていないという無駄の多い状況がある。そこで注目されているのが、仮想化技術によるサーバ・コンソリデーション(統合)だ。使われないサーバの台数を極力減らし、単一のリソース・プールに集約することで、負荷変動に応じて動的にワークロードの割り当てを変化させる手法/仕組みである。これにより、データセンターの実効処理能力を拡大させ、実質的な処理単価を引き下げることが可能になるというわけだ。

 例えば、10%の稼働率で一台当たり2キロワットの電力を消費するサーバが4台あれば、仮想化で1台の大きなシステムに統合することで、消費電力を4キロワットに抑えた上で70%の稼働率を達成するという。消費電力は半分になるのだ。また、管理対象のサーバは1台になるため、オペレーション効率も向上することになる。

 さらに、サーバの数が減るためフロアスペースに余裕が生まれ、温度管理が容易になる。冷却に消費していた電力も大きく削減できることになるのである(「月刊アイティセレクト」8月号のトレンドフォーカス「ムダがまん延するデータセンターの実情 仮想化技術が挑む効率化は実現するか」より。ウェブ用に再編集した)。

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ