ファイルサーバも2.0の時代にこのままでいいのか! ファイルサーバの乱立

近年、企業内のデータ量が年率で6〜7割も増加しているといわれる。増え続けるファイルサーバの運用管理や情報の格納先をどうすべきかといったストレージ分野の課題が、大きくクローズアップされている。

» 2007年06月12日 07時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),アイティセレクト]

大ギャップがある ニーズと現実との間

 全国に点在する拠点や部門、あるいはプロジェクトごとで独自のサーバが乱立し、アクセス権限や管理方針、ファイルの命名ルールなどがバラバラな状況で管理されている――企業のファイルサーバを取り巻く現実である。このような状態では、サーバの一元管理はおろか、ガバナンスを反映した情報管理までが困難になり、ストレージの投資計画も立てられない。また、バックアップが時間内に終了せず、ウイルスや不正アクセスに対応するセキュリティパッチが行き届かないといった問題にも直面する。

 加えて、使用率の低いディスクの急増やファイルサーバ内データの8割に対して過去3カ月間に1度もアクセスがないという調査結果もあり、非効率な運用実態もうかがえる。

 今後は、コンプライアンスや内部統制対応の高まりから、企業内部だけではなく子会社や関連会社、さらには取引先企業まで、ファイアーウォールの内外で情報を適切に管理する必要に迫られることになる。そのため、効率的かつ安全なファイルサーバ管理にIT予算を振り分ける企業が増えるとみられている。

 だが、そんなニーズと現実の間には大きなギャップが存在するのも事実だ。

 例えば、マイクロソフトが推奨する、「Office system」を活用するコンテンツ管理では「SharePoint Server 2007」を使ってSQLサーバのリポジトリにデータを格納することが条件となるが、企業が既に導入しているファイルサーバが他社製の場合、これまで蓄積した情報資産もかなりあることから、一から「SharePoint」に乗り換えることは難しい。その上、取引先やグループ会社、販売パートナーなどにも「SharePoint」を適用したりID管理を統合することも困難になるという側面もある。

「エンタープライズ2.0」のアプローチで

 このようにファイルサーバに関する悩みは尽きない。そんな中、幾つかの新たな提案が注目されている。

 その一つ、情報システムにWeb2.0的な要素を加味した「エンタープライズ2.0」のアプローチでファイルサーバ管理を試みるのが、リアルコムの「FileServer intelligent」(FSi)だ。既存のファイルサーバ環境に管理サーバを追加してネットワークパケットからアクティビティログとメタデータを抽出してデータを管理する、「ファイルサーバ2.0」ともいえるものだという。リアルコムによると、アクティブなファイル類の効率的な整理や不要ファイルのアーカイブ化によるコスト削減のほか、セキュリティアラート機能でコンプライアンス対応も強化できる。

 FSiの特徴は、情報を格納する場所を特定しない点にある。従って、全国数百カ所に散在するファイルサーバを一つの巨大なストレージに移動するというリスクや手間を心配する必要はないのである(「月刊アイティセレクト」7月号のトレンドフォーカス「このままでいいのか! ファイルサーバーの乱立 次世代の最適解には環境マネジメントも!?」より。ウェブ用に再編集した)。

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