我々自身がセールスポイント――サービス事業を再構築するHP(2/2 ページ)

» 2007年06月22日 12時50分 公開
[Scott Ferguson,eWEEK]
eWEEK
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過熱するサービス競争

 リバモア氏によると、その一方でHPは今後も、ストレージ製品ならびに「BladeCenter c-Class」システムをはじめとするブレードアーキテクチャにおける自社のアドバンテージを推進していくという。

 だがサービス製品の販売拡大を目指しているのはHPだけではない。IBMのグローバルサービス部門は、HPのサービスグループと基本的に同じ市場をターゲットとしている。一方、Sun Microsystemsはこの2年間、自社のサーバ/ストレージ/ソフトウェア製品をテコにしてサービス事業の拡大を目指してきた。Dellもデータセンターに関するノウハウを武器にサービス/コンサルティング部門の拡張を進める考えだ。

 サービス関連の分野ではすごい数字が並んでいる。2007年1〜3月期におけるHPのサービス分野の売り上げは41億ドルで、IBMの同売り上げは82億5000万ドルだった。Sunは同期、サービス関連で12億3000万ドルの売り上げを計上した。会計上の問題が続いているDellの場合、サービス関連の売り上げを算出するのは難しいが、Reutersの報道では、その数字を約60億ドルと推定している。

 HPにとって今の課題は、同社の製品によって広範なIT問題を解決できることを潜在顧客に納得させることだ。リバモア氏によると、HPでは自社製品だけでなく競合各社のハードウェア/ソフトウェアも対象としたサービスに加え、コンサルティングサービスも提供する方針だという。

 HPがサービス事業の拡大に向けて計画している方策の1つは、同社のハードウェア/ソフトウェア/サービスで何ができるかを示すモデルとして自社のインフラを活用するというものだ。ハード氏は基調講演でこの取り組みを紹介し、「HPにとってITは資産である」と聴衆に語った。つまり、同社自身のデータセンターが最大のセールスポイントだというわけだ。

 HPの技術ソリューショングループのマーケティング担当上級副社長、デボラ・ネルソン氏によると、HPでは、このメッセージを直接顧客に伝える一方で、チャネルパートナーを通じても宣伝しているという。HPは、自社自身のモデルに見られるように、データセンターの管理の改善はコスト削減をもたらすだけでなく、運用が軌道に乗れば利益の増加にもつながることを顧客に伝えたいようだ。

 「ITがビジネス目標の達成に貢献できることを人々に知ってもらいたい。われわれがフォーカスしている分野は3つある。1番目は利益率の拡大、2番目はコストの削減、3番目はリスクの軽減だ」とネルソン氏は話す。

 HPがこれらの取り組みを着実に進めていると考えている顧客もいる。

 テキサス州ヒューストンに本社を置くエネルギー/天然ガス企業、Suez Energy North AmericaでIT運用ディレクターを務めるワース・デービス氏によると、同社は以前からHP製品を大量に購入しており、c-ClassブレードやAMDプロセッサ搭載ProLiantサーバのほか、EVA(Enterprise Virtual Array)ストレージモデル、エンタープライズ管理ソフトウェアポートフォリオのOpenViewなど同社の広範なハードウェア/ソフトウェア製品を利用しているという。

 デービス氏はかなり以前からHPと付き合っているが、同社が毎年投入するさまざまなソフトウェア製品に付いていくのは難しいという。「しかしHPが自社のデータセンターでの経験を活用するというのは、ユーザーにとって魅力的な話だ」(同氏)

 「HPだけに限らず、大規模なIT部門はどこもこの問題を抱えている」とデービス氏は話す。

 「HPが自社に導入したツールや仕掛けをすべて見せてもらい、それらを新しいソフトウェアでどうやって実装するのか教えてもらいたい。中規模から大規模のIT部門にとって、これは興味のあるところだ。HPが自社のデータセンターで経験したことや、そこでどんなことをしているのかを知りたい。そういった話は信用できると思う」(同氏)

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