法人市場が花開くためのオープンモデル導入をモバイルビジネス研究会報告(1/2 ページ)

総務省のモバイルビジネス研究会が公開した報告書では、今後の携帯電話市場活性化に向けて法人市場の成長にも多くの言及がなされた。

» 2007年06月27日 09時05分 公開
[ITmedia]

 総務省のモバイルビジネス研究会が6月26日に公開した報告者は、携帯電話市場の活性化に向けて、端末販売制度の見直しやSIMロックフリー、次世代高速無線サービスとの連携など、2011年度までに実現すべき提言がまとめられた。

 国内の契約者が飽和状態に近づきつつある今、携帯電話会社を中心に法人市場を取り囲む動きも加速している。モバイルビジネス研究会の報告書では、法人市場の活性化に向けて実現すべき施策も盛り込まれている。

法人に目を向けるワケ

 国内の携帯電話市場のビジネスモデルは、基本的に通信事業者が通信プラットフォームや端末、アプリケーション、コンテンツなどを包括的にユーザーへ提供する「垂直統合型」モデルが主流となっている。一方で固定通信市場は、ネットワークや端末、サービス、コンテンツなどにおいて、それぞれの分野に軸足を置いた複数の企業がサービスを提供する「水平分業型」のビジネスモデルが主流となる。

 国内の携帯電話加入者数は、PHSも含めるとすでに1億加入を突破して飽和状態に近づいた。通信事業者各社は、利用料の引き下げなどによって加入者の囲い込み策を実施してきたが、市場拡大の鈍化とこのような料金施策の導入に音声収入の減少よって、1ユーザー当たりの収益額を示す「ARPU」の減少をもたらした。通信事業者は、ユーザーニーズだけでなく音声収入の低下を補う狙いからデータ通信収入も重視し、「着うた」や映像配信などのコンテンツサービスに注力する。

法人モバイルソリューション市場の予測(※2005年時点での予測。市場規模にはハードウェアや通信料金は含めず、システムの構築〜保守・運用の市場を対象としている。出所は野村総合研究所「これから情報・通信市場で何が起こるのかIT市場ナビゲーター2006年版」より)

 だが、データ通信でも定額制利用者の拡大によって収入が頭打ちの傾向を見せ始めており、新たな収益限として企業などの法人市場を重視する取り組みが加速し始めた。法人市場に対して通信事業者は、音声通信では固定通信や内線と携帯電話を連携させたFMCなどを、またデータ通信では汎用OS搭載する多機能端末(スマートフォン)での業務アプリケーション利用などをソリューションとして展開する。

 ユーザーとなる企業でも幹部社員や外勤社員の生産性や業務効率の向上、また情報漏えいなどセキュリティ対策やコンプライアンスの観点から、通話以外の携帯電話のビジネス利用を検討する動きが広がり始めた。

 報告書では、こうした対法人を含む携帯電話市場のさらなる発展に向けて、既存のビジネスモデルにとらわれない、オープンなビジネスモデルの実現を呼びかけている。

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