20万円台で手に入るD2Dバックアップ:「手軽さ」を追及したHPの新ストレージ「D2D Backup System」

日本HPが発表した「HP StorageWorks D2D120 Backup System」は、中小規模企業でもディスクバックアップのメリットを手に入れられる製品だ。従来のテープバックアップと組み合わせれば、最新のディスクバックアップとテープバックアップの双方の利点を生かしたデータ保護も可能になる。


 日本ヒューレット・パッカード(HP)は6月28日、D2D2Tに対応するバックアップアプライアンス「HP StorageWorks D2D120 Backup System」を発表した。最近、注目が高まっているディスクバックアップの利点を中小規模の企業でも手軽に得られるようにしたストレージシステムだ。

ディスクバックアップの利点と限界

 ディスクバックアップは近年、HDDの低価格・大容量化によってその実用性が高まり、急速に普及しつつあるデータ保護手法だ。HDDからHDDへバックアップするため“Disk to Disk”を略して“D2D”と呼ばれることも多い。

 従来、業務用のオンラインディスクのバックアップ先には、テープ媒体が広く利用されてきたが、バックアップをディスクにとるD2Dにはテープバックアップにはない魅力がある。それは何といっても「手軽さ」である。

photo 「D2D120 Backup System」を担当するストレージ・ワークス製品本部プロダクトマーケティング部の山岡正誠氏。「D2Dは実は枯れた技術だが、まだ中小規模企業には認知されていない。この認識を変えたい」と話す

 テープ媒体を利用したバックアップでは、当然書き込み/読み出しを行うためのテープドライブが必要となる。しかし、高速な新世代のドライブは残念ながら安価とはいえない。また、リムーバブルメディアであるテープは数が増えれば管理の手間がかかる。使用する際に適切なテープを選んでドライブにセットすることを日々繰り返すとなると、その手間は無視できないだろう。もちろん、こうした作業の大半を自動化できるテープライブラリ装置もあるのだが、価格面ではかなり高額な投資を要するためコスト的に中小規模企業では手を出せなかった。

 一方D2Dでは、メディアとしてHDDを使用する。容量面の制約が大幅に緩くなり、バックアップのためにメディアの交換は不要だ。別途テープを扱うことによる心理面での障壁もない。特に、HDD上に仮想的にテープを作成するタイプのD2Dソリューションであれば、テープドライブに書き出すために構築した既存のバックアップシステムを変更せず、テープドライブをディスク装置に置き換えるだけで利用できる。いわば、高額なテープライブラリを使い勝手の良いディスク上に仮想的に実現できるわけだ。

 ただしD2Dは、テープによるバックアップを完全に置き換えることができるわけではない。使い勝手の面では有利な点の多いD2Dだが、バックアップとして保存性を考える場合には、HDDの欠点を意識せざるを得ないからだ。

 もともとHDDはテープに比べるとデータ喪失のリスクが無視できないメディアだ。だからこそ従来ディスクのバックアップをテープに取ってきた。これを単純にディスクに置き換えてしまっては、信頼性や保存性の問題はクリアできない。D2Dが有効なのは、手軽に利用できる点をメリットとした一時的なバックアップと考えた方がよいだろう。

 D2Dはあたかもテープを置き換えるソリューションのように言われることもあるようだが、実際には特性が異なっており、適切に使い分け、可能であれば両者を組み合わせ、補完的な関係を構築することで、より良いデータ保護を実現するためのものだ。

D2Dの欠点を補う「HP StorageWorks D2D120 Backup System」

photo D2D120 Backup System

 HPが新たに投入したD2Dバックアップ製品「D2D120 Backup System」(D2D120)は、製品名にD2Dと入っているものの、実際には“D2D2T”という構成を強く意識した製品になっている。

 D2D2Tとは“Disk to Disk to Tape”の意味で、手軽に迅速にバックアップが行えるD2Dのメリットを生かしながら、最終的なバップアップには一日の長があるテープを使う構成を意味している。データの長期保存やアーカイブに向くテープと、D2Dによる手軽なバックアップを両立させることでテープとディスクの欠点を補える。さらに、構成を工夫するによってテープドライブの数を減らすことも可能になるなど、TCO削減にも貢献できる。

 HPのD2D120の最大の特徴は、最大1.5Tバイトの容量で28万円(税抜)という価格にある。このため、特にIT部門の人手不足が深刻な中小規模の企業で導入しやすいようにしている。外観は標準的なタワー型のPCサーバに見えるが、接続したサーバからはテープドライブとして認識される仕組みだ。

 サーバとはLAN経由のiSCSI(IP-SAN)で接続し、最大4台のサーバをバックアップできる。iSCSI接続によって、サーバと仮想テープドライブは1対1で直結することになるのだが、この点は本製品の使い勝手を簡便にしている一方で、接続のトポロジをやや制限している面もある。

photo D2D2T独立バックアップ構成(画像をクリックすると拡大表示)

 そこで、この制限を回避するために、別途バックアップサーバを用意し、D2D120をバックアップサーバに接続する構成でも使用可能だ。この場合、複数のサーバのデータをバックアップサーバが作成し、書き出し先のテープドライブとしてD2D120が使われる形になる。


photo D2D2T分散バックアップ構成(画像をクリックすると拡大表示)

 D2D120では仮想オートローダを作成することもできるので、こうした構成で使用した場合にも使い勝手が悪化するようなことはない。さらに、バックアップサーバに別途テープドライブを接続すれば、1台のテープドライブで複数のサーバのバックアップデータをテープに保存でき、テープドライブの数を削減できる。バックアップ対象となるサーバの台数が多い場合は、バックアップサーバを別途用意する負担を払っても、コスト面でのメリットが大きくなると期待できる。

中小規模企業に最適な仕様を追及

 D2D120の仮想テープはLTO2をエミュレートする。そのため、データをテープに書き出す際には、世代としては最も実績のあるLTO2の使用を推奨する。LTO Ultrium 448テープドライブを利用することで、比較的安価に導入することが可能だ。

 D2D120に作成された仮想テープの内容を物理テープにコピーするには、現在はバックアップサーバを介して行なうか、あるいはバックアップ対象のサーバに別途接続されたテープドライブに対して行なうか、のいずれかになる。これは、サーバと仮想テープドライブが1対1で接続されるため、内容を読み出せるサーバが限定されることによるものだ。

 しかし、9月にはD2D120にUSB接続のLTO2テープドライブを直接接続させるモデルも追加されるという。このモデルでは、D2D120から直接物理テープにデータをコピーすることができるようになるため、より利用の利便性が向上する。

価格メリットを追及

 D2D120はギガビットイーサネットでの接続を想定しているが、仮想テープドライブとしての公称データ転送速度は約40Mバイト/秒としている。「D2Dだから無条件でテープより高速」と考えていると意外な印象を受けるかもしれない。ちなみに、HPの次世代のテープドライブ「LTO4 Ultrium1840」は、最大容量1600Gバイト、データ転送速度240Mバイト/秒を達成している。

 D2Dの仕様は当然ながらコストとのトレードオフとならざるを得ない。より高機能な製品として、既に発売済みの仮想テープ「VLS 1002i仮想ライブラリ」では、同じ1.5Tバイトの容量で約60Mバイト/秒の性能だが、ハードウェアRAIDを使用していることなどもあり、価格は68万円と倍以上になる。D2D120がいかに中小規模企業でも導入しやすいようにコストを重視した仕様になっているか、分かるだろう。

 またD2D120の基本モデルには、HPのバックアップソフトウェア「HP Data Protector Software Express」のシングルサーバ版ライセンスがバンドルされている。標準では、サーバ1台分のライセンスだが、4台分のライセンスをバンドルしたモデルも38万円で提供される。ソフトウェア単体で購入するのに比べて大幅なディスカウントになっており、新規に統合バックアップ環境を導入する際には非常に有効だろう。

photo 管理画面からは、あたかもテープドライブを操作するように仮想デバイスを管理できる(画像をクリックすると拡大表示)

 運用管理面においては、手軽さを重視した環境が整えられている。専門的な知識がなくても環境設定や運用管理が行なえるよう、GUIベースの管理インターフェイスが提供され、グラフィカルな表示で直感的に理解できるように配慮している。

 D2D120が想定する環境はもともと高性能が必須となる大規模環境ではなく、Windowsサーバを主体とし、高速なテープドライブが導入されていない中小規模が対象だ。この市場に向けて安価で使いやすいD2D2Tソリューションが提供されることになる。28万円で運用管理負担を増やさずにバックアップの頻度を大幅に高められると考えれば、効果の高い投資だと言えるのではないだろうか。

 なお、日本HPでは同日、新世代のテープ製品となるテープオートメーション、バックアップソフトウェアなども発表し、データ保護ソリューションを大幅に強化している。これは、D2Dがテープを置き換えるものではないことの証明であり、相互に補完し合う必要があるからだ。HPはテープ製品に継続的な投資を行っており、D2D2Tというコンセプトは、こうしたテープ技術へのコミットの裏付けがあり、強い説得力を持つものとなっているのだ。

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『中小企業のデータを守る「手軽さ」を追求したストレージ』

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提供:日本ヒューレット・パッカード株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年7月27日


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