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» 2007年06月28日 20時43分 公開

“3GモデルじゃWiMAXは作れない”――齊藤東大名誉教授

通信分野で長年提言を行ってきた齊藤忠夫東大名誉教授は、今の携帯電話ビジネスモデルをWiMAXに持ち込まないように呼びかける。

[國谷武史,ITmedia]

 「今の3G携帯電話のモデルでは日本はオープンになれない」――イー・アクセス/イー・モバイルが主催するWiMAXセミナーが6月28日行われ、基調講演に登壇した齊藤忠夫東京大学名誉教授はこのように語った。

 「ユビキタス時代の無線ネットワークとWiMax」と題した講演で齊藤氏は冒頭、ムーアの法則がコンピュータの普及ペースにも当てはまるとし、コンピュータ技術の進化とアプリケーションの多様化がPC時代の到来をもたらしたと述べた。

齊藤忠夫氏

 「1960年代には誰も予想しなかったが今では1人に1台がコンピュータを持つ時代。このペースなら2020〜2030年頃には1人が100台のコンピュータと通信端末を持つようになる」(齊藤氏)

 PCは多くのユーザーにとって日常生活に無くてはならないものとなったが、こうしたライフスタイルの変化に合わせて、無線通信もアナログからデジタルへの移行やPHS、WiFiの誕生など、さまざまな技術、サービスが登場してきた。

 「すでにいくつもの無線サービスがあり、ユーザーは複数のサービスを使ってユビキタスを実現できるはず。だが多くのユーザーは1つのサービスしか利用しない。この原因は携帯電話のビジネスモデルにある」と齊藤氏。

「ユビキタスはさまざまな無線サービスが相互に接続されることが重要」と齊藤氏

 回線や端末、コンテンツを携帯電話事業者が丸ごと提供する垂直統合型のビジネスモデルは、ユーザーにとってはサービスが複雑な場合に選択の手間を省くメリットがあるが、同時に他のサービスに乗り換えづらいデメリットもある。齊藤氏は、ユビキタス実現の大きな障害になると指摘した。

 齊藤氏は総務省のモバイルビジネス研究会の座長も務めているが、26日に発表した研究会の報告書では、携帯電話の新しいビジネスモデル実現に向けて、販売奨励金制度やSIMロックの見直し、WiMAXなど次世代高速無線サービスとの連携、新規事業者の参入を促がすオープンなビジネス環境の導入を求めている。

 また齊藤氏は、さまざまな無線サービスの相互接続の重要性も指摘する。「国内ではNTTの民営化以降、通信事業者が標準化に大きな影響力を持つようになったが、各社それぞれが独自の技術に注力し、結果として世界のサービスともつながる標準化がなされてこなかった。」

 一方、WiMAXでは標準化推進団体のWiMAX Forumが技術・ビジネスの両面から世界標準となるべきWiMAXのあり方を提案してきた。特にハードウェアやソフトウェアは「プラグフェス」と呼ばれる、WiMAX対応機器同士の相互接続試験を世界各地で行っている最中だ。

 齊藤氏は、20日に開設されたばかりのWiMAX Forum日本オフィスの代表も兼任する。「WiMAXは真のユビキタスが実現するための第一歩。日本の電波制度は世界と比べてもオープンなため、日本流の良さを世界に訴えていくとともに、逆に世界の流れに国内の事業者も合わせていくことのできるWiMAX環境を整備したい」と抱負を語り、次世代無線サービスの普及に向けたオープンなビジネス環境の実現を訴えた。

千本倖生氏

 イー・アクセスの千本倖生取締役会長(イー・モバイル代表取締役社長兼CEO)は、「3.9GやWiMAX、LTE(Long Term Evolution)など次世代無線サービスが注目されるが、具体的なビジネスモデルを描くのはまだ難しい。イー・モバイルも数十MbpsのサービスまではHSDPAでカバーできるが、それ以上の高速サービスがどうあるべきかはソフトバンクさんとの協力関係のようにしっかりと勉強していたい」と話した。

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