Ottawa Linux Symposium――第1日(2/3 ページ)

» 2007年07月05日 13時27分 公開
[David-Graham,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

新しいファイルシステム

 コルベ氏によれば、ファイルシステムは膨張してはいるが、速くはなっていない。ドライブもファイルシステムもますます大きくなるが、全ディスクを読むために必要な総時間もますます増えている。現行のほとんどのファイルシステムは1980年代に作られたUNIXファイルシステムの焼き直しであるから、作り直す必要があるのかもしれないという。

 ファイルシステムに関連してコルベ氏は将来の変化を幾つか予測し、fsckはドライブの使用部分だけをスキャンするようになるだろうと述べた。また、数週間前に登場したばかりのファイルシステムbtrfsにも触れ、これはエクステントを基礎としており、サブボリュームとスナップショット機能、チェックサムをサポートし、オンラインでfsckが可能、設計上オフラインでは非常に高速だが、まだ安定にはほど遠いと述べた。

 コルベ氏によれば、現行のLinux Ext3ファイルシステムの後継であるExt4ファイルシステムが間もなく登場するという。Ext4には、48ビットブロックのファイルシステムが持つ16Tバイトというファイルの制限がなく、エクステント、ナノ秒タイムスタンプ、プレアロケーション、チェックサムジャーナルという特徴がある。

 ReiserFSの後継となるReiser4ファイルシステムは、ハンス・レイザー氏rが抜けたため中断しており、先に進めるためには新しいトップが必要だと述べた。

 ファイルシステムの話題では、最後に、n-mediaディレクトリーツリーを採用したフラッシュ指向のファイルシステムLogFS(翻訳記事)にも言及した。

 仮想化は今やベンチャー投資家から金を集める方便以上のものになりつつある。これはコルベ氏の冗談だが、実際、Xenは商用開発に移りつつあり、2.6.23のメインライン・カーネル・ツリーに入るだろうという。LguestとKVMについても触れ、KVMはハードウェアのサポートのある完全な仮想化システムで、まだ安定はしていないが、2.6.20のカーネルに組み込まれたライブマイグレーション機能があると述べた。

 コルベ氏はコンテナにも触れた。これは軽量仮想化システムで、すべてのゲストが1つのカーネルを共用する。複数のプロジェクトが取り組みんでおり、異なるコンテナAPIが併存することのないように連携する必要があると話す。

 次に、取り上げられたのは、解決済みと思われていた問題、CPUスケジューリングの先行きについてだ。おそらく、込み入った経験則を棄ててきわめて単純で公平なアルゴリズムに従ってCPUを割り当てるCompletely Fair Scheduler(CFS)がカーネル2.6.23で導入されるだろうという。

 スレッドレット、つまり非同期システムコールの将来についても予測した。システムコールがブロックするとプロセスは別のスレッドに移って動作を続行しブロックされたシステム・コールの戻りを待つことになるだろう。このほか、電力管理、ビデオドライバ、間もなく登場するカーネル内トレーサー utraceを使ったトレース機能などが取り上げられた。

 コルベ氏は、最後に重要な問題について触れた。LinuxカーネルはGPLバージョン3に移行しそうもないというのだ。それは、Linux カーネル全体がGPLバージョン2の下で明示的にライセンスされているという事実があるからだ。例えライセンスを変更したくても難しいのだという。

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