リアルタイム性追求のWebLogic Server、C/C++アプリへの挑戦

Javaで、平均1ミリ秒のアプリケーションレスポンスを実現する。BEAは、これまではJavaアプリケーションで苦手としていたフロントエンドアプリへと挑む狙いだ。 

» 2007年07月06日 09時52分 公開
[ITmedia]

 「金融業界におけるフロントエンドアプリは、C/C++によるものが独壇場となっている」。新たなWebLogic Serverファミリー登場理由の1つとして、来日した米BEA Systems、エンジニアリング部門バイスプレジデントのガイ・チャーチワード氏は語った。

 日本BEAシステムズは、7月に米国で、9月には国内リリース予定のJavaアプリケーションサーバBEA WebLogic Serverの新製品「BEA WebLogic Event Server 2.0」「BEA WebLogic RealTime Server 2.0」の記者会見を行った(関連記事)

 「金融業界へのリーチ目的がリアルタイム追求の発端だった。しかし、製造業を始め航空業界など処理速度の追求が必至である分野は多い。JavaアプリケーションでもC/C++に十分に対抗することができる」。そう、チャーチワード氏は強調している。

 金融業界において、サーバサイドのJava利用は一般化しつつある(関連記事)。しかし、バックエンド利用は現実的となっても、一般業務にかかわるフロントエンドではC/C++の独壇場であることに変わりはなかった。チャーチワード氏はこれまでの情勢にも触れ、その理由について次のように言及した。

C/C++アプリに迫るリアルタイム性の追求

 なぜこれまではフロントエンドにおけるJavaアプリケーション利用が広まらなかったのか? Javaアプリケーションの宿命であるリアルタイム性がC/C++で記述されたアプリケーションの処理速度に追いついてないからだ、とチャーチワード氏は指摘する。

 最適化されたJavaアプリケーションであっても、膨大なデータ量を扱いながらも平均で1ミリ秒のアプリケーションパフォーマンスの実現するためには、コード解釈から実行環境となるJVM(Java Virtual Machine:Java仮想マシン)の見直しが必要。一方で、Javaのリアルタイム対応は古くからの歴史があり、JCPで初の標準化として知られるJSR-01が挙げられる。一般的には、これに基づくReal-time Specification for Java(RTSJ)が話題に挙がることが多いが(関連記事)、BEAでは独自のJVM(JRockit)を基にして、RTSJを意識することなくWebLogic Serverの高速さを上乗せするリアルタイム化実現、と優位さを挙げる。

 金融や医療、航空機スケジュール管理など、金銭や人命にかかわる業種では、特に、1秒未満のレイテンシー(応答遅延時間)保証が重要となる。さらに、昨今では大容量のストリーミングデータ扱いが当たり前のため、リアルタイムレスポンスの要求、複合イベント処理(CEP)も課せられているのが実情だ。

 このような用途では、リアルタイム性を補完する役割として、分散されたシステムのデータや業務プロセスの状態を常に監視し、イベント駆動型SOA、および高速・大容量トランザクション処理機能XTP(eXtreme Transaction Processing)を実現することがポイント。BEA WebLogic Event Server 2.0は、このような用途に応えられるよう開発されたものだ。

 なお、BEA WebLogic Event Server 2.0とBEA WebLogic RealTime Server 2.0は、必ずしも組み合わせて利用することが必須ではないという。例えばRealTime Server 2.0を現行のWebLogic Serverと置き換えることで、リアルタイム実行を担保できるもの、とチャーチワード氏は付け足した。当然ながら、バイトコードの互換性も保証されているわけだ。

 なお、現時点では国内販売価格は未定。米国での出荷を受けて決定されるという。

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