「BEA Industry Analyst and Media Summit 2007 APAC」は2日目を迎え、午前のセッションにビル・ロス副社長が登場し、SOA開発をより円滑に進めるためのコラボレーション環境についてブリーフィングした。
7月28日、インドネシア・バリ島の「BEA Industry Analyst and Media Summit 2007 APAC」は2日目を迎え、午前のセッションにBEA SystemsでBEA Workshopファミリーを担当するビル・ロス副社長が登場し、コンポジットアプリケーションのライフサイクル全体を効率良く管理するためのビジョンである「WorkSpace 360°」についてブリーフィングした。
ロス氏は冒頭、InfoWorldがとりまとめたSOA導入に関する調査結果を紹介し、下のグラフのように企業におけるSOAの導入が、調査段階からパイロットプロジェクトや本格導入に進んでいることを示した。SOA導入を検討しない企業はもはや少数派となり、半数以上の企業が評価やパイロットプロジェクトに着手しており、全社レベルの導入にも16%が取り組んでいる。
「しかし、多くのプロジェクトは依然としてサービス化にフォーカスしており、今後SOAの進展に伴って、サービスからコンポジットアプリケーションを組み上げていく段階に入っていくが、ビジネスアナリストやアーキテクト、デベロッパーといった、さまざまな人たちが連携できる仕組みはない」とロス氏は指摘する。
企業のIT資産構築に携わるビジネスアナリストやアーキテクト、デベロッパー、そして運用管理者らは、ビジネスの要求に応えられるITを迅速に構築することが共通の目標であるにもかかわらず、実のところ、コミュニケーションすらうまく取れていないのが実情だろう。
「トレーサビリティに乏しく、変更点も把握できない。WorkSpace 360°はコンポジットアプリケーションのライフサイクル全体を管理するためのビジョンであり、それにかかわるすべての人たちにシームレスな体験を提供する考え方だ」(ロス氏)
WorkSpace 360°の中核は、コンポジットアプリケーションに関するメタデータ、つまり企業のIT資産を格納するレポジトリだ。
ロス氏はセッションで、WorkSpace 360°が2つのコラボレーション環境を実現すると話しているが、このアセットベースのコラボレーションがひとつだ。
「レポジトリは、One source of truth(真実の源)であり、IT構築にかかわるすべての人が、例えば、変更点を把握できる。これはパワーだ」とロス氏。
このほか、WorkSpace 360°のビジョンには、もうひとつのコラボレーションである人同士のヒューマンコラボレーションを円滑にするツールや、それぞれの役割に応じたビュー、あるいはワークフローの機能も含まれるが、あくまでもビジョンであり、BEAの製品もこの考え方に対応していくことになる。しかも、BEAのツールに閉じたビジョンではなく、他社のツールとも標準を介して共存できる。
「BEAだけでなく、IBMや.NETの環境でもWorkSpace 360°は実現できる。しかし、われわれはコンポジットアプリケーションを効率良く構築する仕組みを提供できる唯一のベンダーだ」とロス氏。
目下の計画では、WorkSpace 360°を実現する機能は、既存のリポジトリ製品や、BlogやWikiの機能を持ったWebアプリケーションを開発できるAquaLogic Pagesなどに組み込まれていくことになっているが、埋めなければいけない領域もあるため、買収などを通じてピースをそろえていくことになりそうだ。
SOAとBPMなどが目指すビジネスプロセスの継続的な改善も、実のところ、ビジネスアナリストやアーキテクト、デベロッパー、そして運用管理者の連携が欠かせない。ビジネスプロセス改善のフィードバックループは、すなわちコンポジットアプリケーション構築のフィードバックループでもあり、それを支えるWorkSpace 360°のビジョンはビジネスとITをつなぐアプローチなのだ。
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