職場がオープンなWeb2.0を取り入れるのは必然か?エンタープライズ2.0時代の到来(3/3 ページ)

» 2007年08月23日 07時00分 公開
[大澤文孝,ITmedia]
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「つながる技術」に迫る

 最後に、Web2.0で使われている技術を企業システムで採用すると、何ができるのか。またどのように使いやすくなるのか。ここで代表的な技術を一覧にして挙げておく。

Ajax

 Ajaxは、JavaScriptを使ったリッチなユーザーインタフェースを提供する。Ajaxを企業システムに利用すれば、Webアプリケーションを使って、従来のクライアント/サーバシステムと同様のシステムを構築できる。つまり専用ソフトをインストールせずに、Webブラウザから業務を行える。

 もちろん、今でも業務システムをWebアプリケーションとして構築している例は多い。しかしHTMLの入力フォームを使ったユーザーインタフェースは、業務アプリケーションにとって使いにくいこともある。例えば、帳票印刷などの表形式のデータ入力を思い浮かべると、HTMLの入力フォームでは操作しにくいことが分かるはずだ。Ajaxによるリッチなユーザーインタフェースは、このようなHTMLの入力フォームが持つ欠点を解消する。

RSS

 RSSは、最新記事のタイトルと概要を配信する仕組みだ。一般にインターネットでは、ニュースやブログ記事の更新情報の配信に使われている。もちろん企業でも、ニュースや社内ブログへの投稿などの情報を配信する目的に利用できる。それ以外にも、例えば、「顧客からの発注の有無をRSSで配信する」「在庫切れのタイミングでRSSを配信する」といったように、監視システムとしての利用も可能だ。

Wiki、SNS

 WikiやSNSを使うと、社員が自由に情報発信できるようになる。企業では、すでにナレッジベースシステムを導入しているところもあるが、導入の敷居が高く、また、独自のユーザーインタフェースを持つため使いにくい部分もある。そのため、社員がなかなか情報を入力しようとしない。しかしWikiやSNSは、Webブラウザから好きなときに書き込めるため、ナレッジベースに比べて気楽に使える。社内SNSの普及はまだまだだが、Wikiを用いて情報共有している企業は案外多い。ただし、WikiやSNSは、ナレッジベースの完全な代わりにはならない。その理由は検索性にある。

 ナレッジベースのほとんどは、定型的なテンプレートに書き込むため、非定型の雑多な情報を記録するのには不向きだ。その半面、検索性は高い。それに対して、WikiやSNSは、あらゆる情報を詰め込むことができるが、検索性には優れていない。もしナレッジベースの代わりにWikiやSNSの使用を考えるなら、検索の仕組みを検討しなければならない。十分な検索機能がなければ、情報共有は有効に機能しない。

マッシュアップ

 マッシュアップは、Webサービスを組み合わせて、1つのアプリケーションを構築する手法だ。いくつかの大企業では、スケジュールや顧客情報、業務に必要な情報など、各自が必要なポートレットを選んで組み合わせたポータルページを作っている。そのポータルページにアクセスするだけで、一通りの業務ができる。このようなポータルページシステムは、コンポーネントとして実装されていることがほとんどだ。しかしエンタープライズ2.0では、Webサービスとして実装され、SOAPやXML RPCを使って、自由に組み合わせることができる。

 さらに柔軟なシステムでは、クライアント側のJavaScriptを使って、Ajaxで組み合わせることも可能だ。Ajaxを用いたシステムでは、企業が用意したカスタムの業務アプリケーションを連携させるだけでなく、インターネットに存在する汎用的なWebサービスを組み合わせて使うこともできる。

image エンタープライズ2.0では、こう変わる
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