次期「iPhone」にパワーユーザーが望むもの(1/2 ページ)

デザインからセキュリティまで幅広く検証された初代iPhone。すでに2代目の影がちらつき始めたが、ユーザーが求めるiPhoneの理想像とはいかに?

» 2007年09月01日 07時00分 公開
[Daniel Drew Turner,eWEEK]
eWEEK

 技術系の人々によく知られた格言に、新発売された機器の最初のバージョンは買うな、というのがある。

 それでもAppleの「iPhone」は大人気を博し、一般大衆にも技術のプロにも飛ぶように売れた。とはいえ、コーディングや製品デザインの専門家らには、もしもAppleがiPhone 2.0を市場に投入するのなら、そのときにはどうしても加えてほしい変更点が多々あるようだ。

 UserLand Softwareを設立し、「Scripting News」サイトを運営しているRSSのパイオニア、デイブ・ワイナー氏は、「製品そのものにはがっかりした」と話した。同氏は、iPhoneの電子メールに検索機能がほしかった言い、Webブラウジングの性能にも疑問を持っている。

 「(iPhoneは)BlackBerryよりはるかにしゃれているし、手にもしっくりとなじむ。その点では、Appleに文句を言うつもりはない。パーソナルデバイスの場合、スタイルも重要な要素になるのは承知している。だが、Appleはもう少しライバル製品を研究して、機能性に富んだ製品を作ってもよかったのではないかと思う」(ワイナー氏)

 前述の通り、ワイナー氏はiPhoneに電子メール検索機能が搭載されていない点が非常に残念だと考えている。

 BlackBerryの携帯デバイスでは、「受信箱を検索して人の名前を探し、いちばん初めに来たメッセージを開いて、電話番号をハイライト表示させられる。それからスクロールホイールをクリックして電話番号をダイヤルし、もう一度クリックして実際に電話をかけることができる」(ワイナー氏)。

 また、Appleが同社のWebブラウザ「Safari」のデスクトップアナログ版をiPhoneに搭載したことについても、ワイナー氏は釈然としないと述べている。

 同氏は、「携帯版WebもしくはiPhoneのどちらか一方の利点を取ることに本当にに意味があるのかどうか、これから長い議論が始まりそうだ」と話し、iPhoneではWebを閲覧するために何回もスクロールやピンチ(タッチスクリーン上で指をひねるような動作をすること)をしなければならないが、モバイルサイト、非モバイルサイトを含めた広範なWebにアクセスできるところは大きな魅力だと話した。

 「Appleの試みは壮大だが、成功を収めるのは難しいのではないだろうか。スクリーンの解像度には限界があるし、また例えそのような制限が取り払われ、1平方インチに10億ものピクセルを詰め込めたとしても、人間の目の認識力にも手の大きさにも、やはり限界があるのだ」(ワイナー氏)

 ノースウェスタン大学デザイン学部の教授で、Nielsen Norman Groupのプリンシパルも務めているドナルド・A・ノーマン氏は、iPhoneに対するワイナー氏の批判におおむね同意している。

 「いくつか問題もあるが、iPhoneのデザインは期待を裏切らないすばらしい出来だ」と話すノーマン氏が何より問題視しているのは、「(iPhoneが)未完成品であることだ」という。

 「電話をかけ、電子メールを使うことが主な用途となるビジネスマンには適さないデバイスだ。そうした分野では、BlackBerryやTreo、一部のNokia端末に軍配が上がる。彼らはビジネスマンが求めるものを理解しており、本物のキーボードを備えている」と、ノーマン氏は述べている。同氏は間もなく、「The Design of Future Things(未来の製品デザイン)」という書籍を発行する予定だ。

 「Appleはこれまで、ビジネスマンのニーズを満たそうとしてこなかった。何も同社を批判しているわけではない。すべての製品は何らかの目的を持っているべきであり、ユーザー対象が特定されているべきだ。わたし自身も、ニッチユーザーの1人だ。Appleには、エンターテインメント愛好者向けの製品に焦点を絞る正当な権利があるが、今回はわたしはその対象ではなかったということだ」(ノーマン氏)

 同氏は、iPhoneのインタラクティブ性に関しても難点を示した。

 「iPhoneのブラウザは実に使い勝手が悪い。入力に至っては、苦痛ですらある。画面配置を縦方向と横方向に自動で切り替えるというすばらしい機能も、キーボードの使用に関してはほとんど有効性がない」(ノーマン氏)

 さらにノーマン氏は、ワイナー氏が指摘した「検索機能の欠如」をあらためて批判した。

 Webブラウジングのエクスペリエンスについては、「最初のうちは、画像の縮小拡大機能や2本の指を使った操作をおもしろいと感じたのだが、画面上の興味のある部分を見るのに、例外なくそうした動作が強要されるのはつらいものがある」(ノーマン氏)としている。しかし、「スクリーンをタップして画面サイズをリセットできるようにした」点はAppleを褒めてよいと、同氏は述べた。

 「極めて優れた技術を利用しているが、足りない部分が多く、万人向けではない」と、ノーマン氏は結論している。

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