SilverlightはLinuxもサポート――MSの「Moonlight」プロジェクト(1/2 ページ)

MicrosoftのSilverlightは、クラスプラットフォーム対応プラグインとしてLinuxもサポートする見込みだ。

» 2007年09月07日 05時30分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftは9月5日、Web上でリッチなユーザーエクスペリエンスを提供するクロスブラウザ/クロスプラットフォーム対応プラグイン「Web Silverlight 1.0」をリリースした。

 ワシントン州レドモンドに本社を構えるソフトウェアメーカーのMicrosoftは、SilverlightでLinuxをサポートする取り組みをNovellと共同で進めることも明らかにした。この取り組みは「Moonlight」と呼ばれており、mono-project.comでスタートしたプロジェクトをベースとする。

 Silverlight 1.0のリリース、ならびに幾つかのユーザー事例および新しいパートナープログラムの発表は、Microsoftの技術に関するビッグニュースだが、それよりも注目に値するのは、同社がMoonlightプロジェクトを支持したことだ。

 マサチューセッツ州ウォルサムに本社を置くNovellで開発プラットフォーム担当副社長およびMonoプロジェクトのリーダーを務めるミゲル・デ・イカーサ氏は、「わたしのみるところでは、これはビッグデーだ。Linuxに対応するというMicrosoftの取り組みは大いに評価できる」と話している。

 Microsoftのデベロッパー部門でプラットフォーム/ツール戦略を担当するグループプロダクトマネジャーのブライアン・ゴールドファーブ氏によると、同社の発表の主要なポイントは、顧客への継続的なフォーカス、そして「これまでの当社の取り組みの素晴らしい延長」としてのNovellとの提携であるという。

 Forrester Researchのアナリスト、ジェフリー・ハモンド氏は、「Microsoftのサポートの表明は、市場での同社の競争手法に対する人々の従来の認識を改めることに同社が真剣になっており、広範な影響力を持ったRIA(リッチインターネットアプリケーション)プラットフォームを確立するためにはあらゆる努力を惜しまない考えであることを示している。Microsoftのライバル各社はもう、『Silverlightは素晴らしい技術だが、WindowsとIEにしか対応しない』と言えなくなった。これで、競合するRIAプラットフォームプロバイダー各社にもプレッシャーがかかり、彼らも同様に広範な開発者に対して影響力を持ったプラットフォームを提供しなければならないだろう――それも早急にだ」と分析する。

 NPD Groupのアナリスト、クリス・スウェンソン氏によると、Monoプロジェクトで開発中のプラグインは、開発者に素晴らしい選択肢を提供するという。

 「Linuxバージョンが登場すれば、開発者はWindows上の.NETランタイム、Mac、Linuxのすべてのプラットフォームをターゲットにすることができる。これは多くの.NET開発者をわくわくさせるだろう」とスウェンソン氏は語る。

 ゴールドファーブ氏によると、MicrosoftがSilverlightを発表したとき、同社に寄せられた批判的意見は、同技術の「リーチ」(対応範囲)に関するものだったという。「このためわれわれは、Novellと提携してSilverlightのLinux向けインプリメンテーションを提供することを決めた」と同氏は話す。

 デ・イカーサ氏によると、「NovellはSilverlightの発表を聞いて非常に興奮した」という。「われわれは以前からSilverlightに注目しており、彼らがSilverlight 1.1の開発を開始したとき、われわれは非常に興味を持った」。

 Silverlightが広範に普及すると考えたNovellでは、Microsoftの協力の下でMoonlightのプロトタイプを作成し、その後、同技術のデモを披露したという。「そして今、われわれはSilverlightの完全なLinux向けインプリメンテーションを提供しようとしている。これはMoonlightと呼ばれ、(Windows版と)まったく同等だ」とデ・イカーサ氏は語る。

 デ・イカーサ氏によると、Moonlightは、Red Hat、CanonicalのUbuntu、NovellのSUSE Linuxなどすべての主要Linuxディストリビューションをサポートするという。

 「Moonlightは、Silverlightの規格に基づいてスクラッチで開発した完全な再インプリメンテーションである。この規格は、いわばTCP/IP規格のようなものだ。現在、オープンソースライブラリおよびMicrosoftのWindows Mediaコーデックを利用してSilverlightのメディアコンテンツのプロトタイプを作成中だ」と同氏は話す。

 ゴールドファーブ氏によると、Silverlightの再インプリメンテーションをスクラッチから開発するというNovellのアプローチは、同社がオープンソースライセンスの下で真のオープンソースプロジェクトとしてMoonlightを提供することを可能にするという。

 「Moonlightは6カ月以内にリリースされる見込みだ」とデ・イカーサ氏は語る。Novellでは、同技術の開発を支援するテストスイートの提供を待っているという。さらに同氏によると、NovellはSilverlight 1.1をサポートするMoonlightバージョンの開発も進めている。なお、Silverlight 1.1自体もまだ開発中である。「Silverlight 1.1のリリースにできるだけ近い時期にLinux対応版を出したいと考えている」と同氏は話す。

 また、NovellはMoonlightプロジェクトを管理しているが、オープンソースの取り組みとして、協力を希望する外部の開発者も受け入れるとしている。「これはオープンソースのプロジェクトであり、われわれのコードはすべてリポジトリで公開されている」とデ・イカーサ氏は話す。

 Microsoftによると、Silverlightは開発・配備コストを大幅に削減し、Windows Media Technologiesを利用したWebオーディオ/ビデオのストリーミングと再生機能を改善するという。

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