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» 2007年09月21日 07時00分 公開

システム管理者のココロの栄養素:人事担当全員カウンセラー? 心の「危険信号」をいち早くつかむ (1/3)

IT企業におけるメンタルヘルスへの関心は日増しに高まっている。それに呼応して、社員の健康を管理する人事・労務担当者自身がカウンセラー資格を取得しようと試みる企業もある。その取り組みを追った。

[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

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 昨今、社員の労務問題に起因する心の病、いわゆるメンタルヘルス不全の増加が大きな問題となっている。特にIT業界は、労働集約的業務が幅を利かせ、1人で抱え込む業務が多いことや、細かい作業を高い精度でこなし、かつ厳しい納期が求められていることから、ほかの業界に比べ精神疾患の発生率が高いといわれている。

 また、景気の回復とともに仕事量が増える一方、慢性的な人材不足による長時間労働は改善されていない。さらに、この世界は技術的な進展が極めて早く、常に複数の知識を習得しておくことが求められるなど、エンジニアやシステム管理者などにとっては非常に厳しい環境といえる。

メンタルヘルス不全の連鎖

 これら、ストレスを原因とする「うつ」などの精神疾患を発病すると、全快までに多くの時間がかかり、長期休職から復職まで会社が負担するコストも少なくない。復職しても従前の状態にまでパフォーマンスが発揮できる例はまれだという。

 また、本人のみならず、所属するチームや組織、プロジェクトなどへの士気の低下や、周囲へのストレスの連鎖が起こり、1人のメンタルヘルス不全者が発生した組織では、かなりの確率で複数人の予備軍が認められるという研究結果もある。企業にとって、社員のメンタルヘルス不全発生は非常に大きなダメージとなるのだ。

 もちろん、社員本人のダメージも大きい。フルタイムの就労が困難になり、あるいは長期間の休職に至った場合、傷病休暇制度や傷病による有給欠勤制度、あるいは休職中の傷病手当などを用意する企業もあるが、中小企業ではこのような制度を充実させるのは難しいだろう。しかも、これらは数カ月〜1年間といった期限付きの、金銭面における支援でしかない。

人事部員本人がカウンセラー資格を取得

 心の問題を抱えている社員にとっては、制度的な支援のほかに、カウンセリング的な支援を用意することが必要と考えたのは、日本ユニシスだ。

 同社は、従業員のメンタルヘルス対策の一環として、人事部員本人がカウンセラー資格を取得し、社内のメンタルヘルス相談の窓口となるようなプログラムを進めている。日本産業カウンセラー協会が認定する「産業カウンセラー」(*1)をはじめ、同協会が認定する「キャリア・コンサルタント」(*2)、中央労働災害防止協会が認定する「心理相談員」(*3)などがその主なターゲットとなる。

 人事部人事室と、今年から新たに設けられた「社員健康推進室」の2つに在籍するメンバー約30名を対象に、全員がこれらの資格取得を目指すという。社員の心と体の健康支援を進める職責の必須な知識として位置付けている(図1)。

画像 図1●日本ユニシスグループでのメンタルヘルス体制

 「この取り組みの最大の目的は、人事部員への啓もうと教育的支援。社員のメンタルヘルス不全を回避するために、どのような知識・スキルを身に付けるべきかを検討する中で、産業カウンセラーの資格取得に必要な知識とスキルの会得が最も妥当だと考えた」と語るのは、日本ユニシスの人事部で人事室長を務める大根田育生氏。自身、産業カウンセラーやキャリアコンサルタント、心理相談員といったすべての資格を取得している。


*1 産業カウンセラー:心理学的手法を用いて、労働者が抱える問題を自らの力で解決できるように支援するための資格。2001年9月までは厚生労働省が技能審査し、2002年度以降は社団法人日本産業カウンセラー協会認定の資格となった。


*2 キャリア・コンサルタント:求人と求職の効果的なマッチングや、個人主導のキャリア形成を進める資格。養成講座での主なカリキュラムは「自己理解と問題解決」「キャリア開発」「人事労務管理」「カウンセリング」などが主体。検定は、厚生労働省よりキャリア形成促進助成金対象の指定を受けた機関によって実施される。推奨カリキュラムを修了、なおかつ社会人経験3年以上を受験の要件としている。


*3 心理相談員:労働安全衛生法に基づくメディカルチェックや運動処方など身体面の健康増進対策と並んで、メンタルヘルスケアが1988年から採り入れた健康保持増進措置「トータル・ヘルス・プロモーション構想(THP)」を支援する資格の1つ。主な役割は、メンタルヘルスケアの実施、ストレスに対する気付きの援助、リラクセーションの指導、良好な職場環境の雰囲気作りなど。大学の心理学科の修了者、あるいは看護師・保健師の資格保持者など、3日間の「心理相談専門研修」を受講すれば取得できる。


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