教育の充実で地球環境を改善できる――ジョージ・ルーカス氏Dreamforce 07 Report(1/2 ページ)

「Dreamforce 07」の2日目の基調講演にはジョージ・ルーカス氏が登壇。教育分野での活動経験を基に、企業の社会貢献について意見を披露した。

» 2007年09月21日 18時25分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

 Dreamforce 07の2日目のキーノートセッションのステージには、映画「スター・ウォーズ」「インディ・ジョーンズ」などの監督やプロデューサーとして有名なジョージ・ルーカス氏が登壇した。ルーカス氏は現在、映画関連以外の活動として教育に力を注いでいる。自ら「THE GEORGE LUCAS EDUCATIONAL FOUNDATION」という財団を立ち上げ、「edutopia」というWebサイトや雑誌を作り、そこでは教育を支援するためのさまざまな情報提供を行い、教育というものをどのようにしていけばよいかを研究しているという。

ジョージ・ルーカス氏 ジョージ・ルーカス氏。ジョージ・ルーカス教育財団(The George Lucas Educational Foundation:略称GLEF)を1991年に設立し、教育の現場でさまざまな活動を行っている

 Salesforce.comでは、創業当時から「就業時間の1%、株式の1%、製品の1%」を社会貢献として還元する活動を行っている。そこで、企業が社会貢献をするにあたり、寄付や製品提供のほかに何をしていけばよいのかを考えたとき、一つの形として教育支援がある。その観点から、教育に対して積極的に活動を行っているルーカス氏に話を聞く機会を持ったという。

 CEOのマーク・ベニオフ氏が、「サンフランシスコの街の良いところは、常にイノベーションがあるところだ。ここには、興味深いビジョンを持った人が大勢いる。そんな中の1人で、われわれの潜在意識にまで影響を与えるような、素晴らしい映画を制作すると同時に、教育に大きな関心を持っている人物だ」と紹介すると、ルーカス氏はステージに登場した。

知識を教え込むのではなく学ぶことを助ける

 ルーカス氏は、小中学生の頃はあまり勉強は好きでなかったという。大学で社会科学を専攻し、その頃から学ぶことに興味を持つ。興味を持つと勉強が楽しくなり、結果的には成績も上がったとのこと。そして、通っていた大学で映画を学ぶ機会に恵まれたルーカス氏は、それが楽しく好きなことになる。やがてそれは、情熱へと変化する。このように、自分の中で情熱へと変化するようなものを、人生のなるべく早い段階で見つけることが、人としての強みにつながるとルーカス氏。

 さらにルーカス氏こう続ける。情熱へと変化する対象を子供たちが見つけるには、1時間の講義で説明をするのではなく、まずは自分の経験を話し、その後は質問に答えるというやり方が良い。重要なのは子供たちが学ぶのを助けることであり、好奇心を持たせること。現実の世界は常に変化するので、知識を正解として覚え込ませるのではなく、学んだことが現実の世界で正しいかを常にアップデートし確認する姿勢を教えるべきである。

 「効率化などは、学ぶことに対してはむしろ弊害となる。コンピュータはツールにすぎない。コンピュータそのものを学ぶより、コンピュータを鉛筆のように使いこなすことのほうが重要だ」(ルーカス氏)

 ルーカス氏が活動拠点としているedutopiaというサイトには、教育のためのさまざまなツールが用意され、無償で利用できる。どうやって教育に貢献すればよいかが分からなければ、まずはこのサイトを訪れて欲しいとのこと。edutopiaという名前の雑誌も発行しており、ここにもさまざまな情報が掲載されている。ルーカス氏は「この雑誌の内容は難しいものではないため、学校の先生にもぜひ気軽に読んでほしい。企業が社会貢献で何をしてよいか分からない場合も、edutopiaのサイトを参照して欲しい。われわれに寄付するのも、雑誌に広告を出すのでもよい。まずは、このedutopiaの存在をあちらこちらに紹介してもらいたい」と言う。

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